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一日に何十回もの電話は当たり前。メールなんて百通を超える日もあった。
で、話の内容は「いま何してる?」が大半だった。
とにかく俺の行動が気になって仕方なかったらしい。
それからメグミは、セックスの時やたらと中出しを切望してきた。
俺は当時フリーターで女子供を養う経済力なんて無かったもんだから、これに応じるわけにはいかなかった。
過去に一度、セックスの最中に俺がイきそうになった時、メグミに足でがっちりホールドされて中に出してしまったことがあったんだ。
幸いなことに妊娠はしなかったけど、それ以来俺はセックスするとき絶対に分厚いゴムを付けるようになった。
それからメグミを語る上で絶対に避けては通れないのが、左手首に残された複数のリスカ跡。
普段は長袖の服を着て隠してるんだけど、エッチのときとかは裸だから痛々しい傷跡が嫌でも目に入ってきた。
「○○(俺の名前)君と付き合うようになってからリスカやめたんだ〜♪」
そう笑顔で語る彼女の目は、狂気に満ち溢れていた。
そんなこんなでメグミからの束縛と漂うメンヘラ臭に耐えられなくなった俺は、あるとき彼女に別れ話を持ち出したんだ。
包丁でも持ちだされるかと内心ビクビクしていたけど、メグミの反応は思っていたよりも素っ気なかった。
たぶんメグミの方も、俺が嫌がっていたことに薄々気付いてたんだと思う。
メグミと別れてから一年ほど過ぎた頃、俺のバイト先に一人の女性客が頻繁に訪れるようになったんだ。
カナコと名乗る、怖いくらいに整った顔立ちをしたその女性客は、何故だかわからないが俺に対してやたらとアプローチしてきた。
そしてカナコがバイト先を訪れるようになってから数ヶ月ほど経ったある日、俺はついに彼女から付き合ってほしいと告白されたんだ。
男としては美人から求愛されるのも悪い気分ではなかったので、俺は快くその告白を受け入れた。
カナコと付き合うようになってから気付いたんだけど、彼女は妙に俺に対して気を使っているみたいだった。
なんていうか…嫌われないように必死、みたいな。
その後俺とカナコは何回かデートを重ねたあと、ある時ついに二人で初エッチをすることになったんだ。
場所は俺のバイト先近くのラブホ。
ラブホの部屋に入って早々、カナコが激しく俺にキスしてきた。
俺がカナコの服を脱がせようとすると、「このままがいい…」と言って彼女はそれを拒んだ。
ちょっと不思議に思ったけど、たまには着たままヤるのもいいかと思ってその時はあまり気にしなかった。
それからしばらく絡み合ったあと、俺は正常位で、それもゴムも付けずに挿入した。
例の一件以降ずっとゴム有りで我慢してたもんだから、カナコとのセックスは久々に生でヤるチャンスだったんだ。
その時はまぁイクときになったら外に出せばいいやぐらいの気持ちでいた。
特に抵抗する素振りも見せずそれを受け入れるカナコ。
それから数分間ピストンが続き、あとちょっとでイクと思ったその時だった。
カナコが俺の腰回りに足を絡ませ、ガッチリとホールドしてきたんだ。
そう、以前元カノのメグミが俺に対してやってきたように。
俺は慌てて腰を止め、カナコの足を振りほどこうとした。
けれど駄目だった。
カナコの足は信じられないぐらいの力で固定されていて、俺の腰に絡みついて離れなかった。
で、結局そのまま中に出してしまった俺。
「何やってんだよ!中に出しちゃったじゃないか!」
「え〜、だって○○君の赤ちゃん産みたかったんだも〜ん♪」
これを聞いて背筋がゾクっとした。
この後先を考えない狂った思考………メグミだ。
顔も声も胸の大きさも全然違うんだけど、俺にはこの女がメグミとしか思えなかった。
それからしばらくして、カナコは疲れて眠ってしまった。
チャンスだった。
俺はカナコを起こさないようにそっと、それまで長袖で隠れていた、いや隠されていたと言うべきか、彼女の左手首を確認したんだ。
横一線に引かれた複数の痛々しい傷跡。
それはメグミの左手首にあったリスカ跡と全く同じだった。
恐れていた予感が的中してしまった。
カナコと名乗るこの女の正体は間違いなくメグミだ。
それから俺は怖くなって、眠っているメグミを置いてその場から全力で逃げ出した。
バイトは即日辞めて携帯の番号を変え、それまで住んでいた家も引っ越した。
とにかくメグミから逃げることに必死だったんだ。
それから数ヶ月後、メグミを知る友人からこんな話を聞いたんだ。
「なんかね〜、あの子 整形したって噂だよ」
やっぱりなと思った。
蓋を開けてみれば単純な話だった。
メグミは俺と駄目になったあとに整形して、”カナコ”という架空の女になってもう一度俺とやり直そうとしたのだ。
思いついても普通やるか…?
幸い、あのラブホでの一件を最後にメグミは俺の前に現れていないけど、いつかまた顔を変えて俺に会いに来るんじゃないかと思うと怖くて夜も眠れない…
---END---