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病気の為、14歳の若さで逝ってしまった。
通夜の晩、母親が姉の死に装束を脱がせている所を目にした。
別に見慣れている姉の裸だし、躊躇いもなく母親に聞いた。
すると「何日か後には焼かれるから、その見納めよ。」と言った。
臨終の際はかなり取り乱している母だったが、妙に冷静な口調で不思議に思った。
闘病で痩せ細った姉の体は、いつか通園路に捨ててあったマネキン人形を思わせた。
脱がされてもピクリともしない姉。
本当に人形になってしまったと思った。
すると母は粘土と油を持ってきた。
どちらも封を切っていないようだし、この日に買ってきたものらしい。
母は姉の胸に油を塗り、その上に粘土を捏ねて塗った。
どうやら胸の型と取っているらしい。
それを終えると、型の粘土を大事そうに仕舞い、また何かを取りに行った。
今度はインスタントカメラだ。
これも新品みたいだ。
母は姉の全裸を撮りまくる。
「貸して」と母に強請る所だったが、母の様子が余りに異常だった為凍りついた。
何と言うか恍惚としていて、死に装束から胸を肌蹴るようにして摂ったり、性器を覗き込むように撮ったりしていた。
唐突に母が俺のペニスを姉のヴァギナに入れるように言い出した。
余りに突飛な行動に戸惑ったが、母は「姉が成仏できないから」と強要した。
眠いわ訳分からないわで泣きそうになりながら、その通りにする。
母親に姉の下半身を持ってもらいながら、ペニスを入れる。
コリコリした疼痛に顔を顰める。
その内母が出し入れするように言う。
ヴァギナの中は湿りが無く、出し入れする度に痛みが襲った。
幼児の俺に取っては体力でも負担だった。
何分か何十分かは覚えていないが、母が許すまで続けた。
俺はペニスを曝け出したまま息を切らして倒れ込んだ。
だが、本当の恐怖はそれからだった。
一時眠ったのか、変な物音で目覚める。
そこには新聞が広げられていた。
見ると母が姉の胸に印を付け、包丁を当てていたのである。
印に剃って、姉の乳房を削ぎ始めた。
「お姉ちゃんが痛がってるよ!」と泣き叫ぼうとしたが、近付けば殺されると思って動けなかった。
死体なので血はそんなに出なかった。
母は削ぎ取った「姉の胸だったもの」を二枚、新聞の上に乗せた。
今度は姉の腹に包丁を入れた。
俺はショックの余り気を失い寝たのか、気付いた時には早朝になっていた。
母に起こされる。
台所に連れて来られると、俎板の上には「姉の胸だったもの」が二枚、
そして、烏賊か蛸のような奇妙な生き物が乗っていた。
今思えば子宮だ。
母が姉の腹を裂いたのは、子宮を取り出す為だった。
母親には姉のそれを共に食べるように言われた。
「姉が成仏できないから」とね。
俺は子宮を気持ち悪がったので、胸を一枚食べさせられた。
包丁でサイコロ状に切り、ソーセージを焼く具合で料理し、皿に乗せた。
それに焼肉のソースを掛け、残さず食べさせられた。
母も胸と子宮を焼いて全て食べた。
そして葬式は無事に終わったが、それを境に母親が狂った。
確かパプアニューギニアの方に、共食いが原因で起こる風土病があるそうだが、その所為かは定かではない。
突然苦しみだしたかと思えば、訳の分からない叫びを上げたり、俺を殴ったり…。
母親は間もなく事故に逢い、還らぬ人になった。
前後左右を見ずに道へ飛び出し、乗用車に跳ねられたそうだ。
家は母子家庭だった為、身寄りがなくなった俺は祖父母(母方)の元で育った。
あの忌々しい出来事は話していない。
俺も命令されたとは言え共食いしてしまったのだ。
その所為か俺の体は病魔に冒されている。
もしかすると、数年後には母のように頓死してしまうのかも知れない。
あの出来事は、俺が死ぬ事によって償われるんだ。
これは避けられない運命だ。
毎晩、姉の幻覚に苦しめられる。
姉が俺の首を絞めて罵声を浴びせてくるんだ。
胸を削がれた裸の姉が。
これは、事件の後悔と病気から来るものだと思う。
医者には行けない。
あの事件を言わなければいけないから。
だから俺は、事件を胸に秘めたまま、逝ってしまうしかないんだ。
姉の肉を食い、汚れた体が朽ち果てるまで…。
釣りではないし、俺の病気もヤコブではないかも知れない。
でも病気が嘘だとすると、霊みたいな突飛な話に飛んでしまうだろう。
本当に、夜中に姉の怨霊を見たんだ。
霊かも知れない、幻覚かも知れない、或いは妄想の産物かも知れない。
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