禁断と背徳の体験告白
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2度目の告白[第2話]|純愛・青春・幼少期

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2度目の告白[第2話]

読了目安 8分04秒

[作品No 2] 2025/11/26(Wed)
翌日、痛みはもうなかった。足には。
俺は悪友を責める。見捨てて逃げた事を。
「いや、ゴメンな…。何も考えられなくなっちゃってさ…」
この男の行動には悪気はない。それはいつもの事で、皆知っていた。俺はとりあえず文句を言った事で満足した。

それから少したったある日。
その日は放課後は教室で遅くまで友達と喋っていた。
もう暗くなり、みんなと帰ろうと校門まで来たが、忘れ物をした俺は皆を先に返し、教室に戻った。
「一人で帰るか…」つぶやきながら教室を出る。
玄関から校門に向かって歩く時、大きな声がした。

「おーい。ちょっと待ってー!」
「?」
「あ、いたいた。探したのよ、貴方の事」片瀬だった。練習が終わって今帰りだろうか。
「片瀬…さん?」 「あ、私のこと知ってるんだ。そう、2-Bの片瀬美樹。でも私も君の事探してたんだよ?」
「え?どうして?」胸の中に警戒の鐘がなる。どうしても後ろめたい気持ちをぬぐえない。

「いや、ちょっと話があって。…でも名前も知らないし、まさか、覗いてた人っていうわけにも行かないし」
彼女はそういって笑った。とりあえず怒っている感じではない。気後れの、人見知りのしない朗らかな人だった。

「話?こないだの事?」
「そうそう。ねぇ、どうして覗いてたの?」
「どうしてって…いや、実は友達が…」
俺は簡単に顛末を説明する。
「ふーん、でその友達は?」
「い、いや、それはちょっと…名前は言えない…」
「なるほど、俺は連れてこられただけ。手伝いはしたけど覗いてはいない。だけど、その主犯の名前は言えない。って事ね?」

「あ…」言われてみれば虫のいい話だ。それでは自分が覗いていたと言ってるようなものだ。
「そんな話、通じるかなぁ…?」
「う…」俺は言葉に窮した。が、「ごめん。俺が覗いてたんだ…。友達の話は嘘だ。」
「ふーん、で、どうだった?練習風景は」
「えーと、レオタードを着てた人がいて…踊ってた…」
「ぷっ!あはははは」
「え?どうしたの?」俺は何故彼女が笑うのかわからない。
「だって…くくっ、練習でレオタード着てる人なんていないよ…本番を想定した演技の練習ならともかく、普段は体操着とかジャージだよー。あははっ」
「え?あ、そう言えば、片瀬もあの時体操着だった…」

「あはは、わかったわかった。君は本当に見てない、覗いてないのね。信じましょう!
実際あの時、二人の人間の悲鳴が聞こえたし、確かに一人ではあの窓まで届かないしね。台になるようなものもなかったし」
「あ、ありがとう…」

「いいの、いいの。私もちょっと意地悪だったね。ゴメンね?でも、なんで友達を庇うの?あなたの事置き去りにしたんでしょ?」
「え…あー、そう言えばなんでだろう。…ごめん、よくわからない。なんとなく、言っちゃいけないような気がして…」
「それで、自分が罪を被ってもいいって?」
「…うん。なんかそんな綺麗な感じじゃないけど…」
「真面目なんだね。君って。」片瀬は感心したように言う。なんだかこそばゆい。
「そんな事ないよ…。」
「いや、偉い偉い。」そういって彼女は俺の肩を叩く。
「そう言えばまだ、名前も知らなかった。クラスも。あ、学年もだ」彼女はまた笑った。よく笑う人だ。
「えと、2-Aの西野尚(仮名)」
「にしのひさし君。部活は?」
「…帰宅部」
「そう、…だと思った」また笑顔。

この日、初めて彼女とちゃんと話した。正確には、こんなに長い時間女の子と話したのも初めてだった。
「でもどうして、ウチの学校の男の子はすぐ覗くんだろうね。ちゃんと体操って物を見れないのかな」
彼女は少し、悲しげに呟いた。
「そんな事はないと思うけど…」
「本当?君はそう言えるの?」大きな瞳が俺を真正面から見つめる。
「いや、実際に見たことないからわからないけど…」自信なさげに俺は答えた。

「そう…。…じゃあ、今度ちゃんと見てみる?練習。覗きじゃなくて、ちゃんと。近くから」

「…え?」

覗きの片割れ、フリーパスをゲット。

「そんなこと出来るの?だって男子の見学は禁止じゃ?」
「ううん、男子の見学が禁止なんじゃなくて、ニヤニヤしながら笑ったり、ふざけたりするのがダメなの。
そういうのは私も迷惑だし、気も散るわ。かといって、じーっと真面目に覗いてるのも嫌だけど」彼女は笑う。
「だって本来体操は人に見てもらう為の競技でしょ?見学ならいいのよ。
ただ、そういう理由があるから、男子が正式に見学する場合には部員の推薦が要るの。
だから私が前もって伝えておけば大丈夫なの。それとも、迷惑?別に見たくないかな?」

「いや、そんなことは…。見てみたいよ。見たことないし。あ、変な意味じゃなくて」
「ふふっ。わかってるって」
「…でもさ、聞きたいことがあるんだ」
「何?」
「どうして俺を招待してくれるの?あとさ、どうしてあの時、俺を助けてくれたの?片瀬さんにとっても、覗きは迷惑なんだろう?気が散るし」
「…それは…うーん。別に言ってもいいんだけど、練習見てくれたら教えてあげる」彼女は少し逡巡したあと、そう言った。
「わかった。見学させてもらうよ。」
「そう。じゃあ、明日は?」
「うん。問題ない」
「帰宅部だもんね」彼女はからかうように笑う。でも嫌味な感じは少しもしない。この明るい性格の成せる業なのだろう。

次の日。
「おーい、尚ー。どっか寄ってかねー?この後」HRが終わり友人が声を掛ける。
「いや、今日はちょっと」なんとなく、体操部の練習を見に行くとは言いづらかった。囃し立てられるのがオチだったから。
一緒に行きたいと言い出す奴もいただろう。

俺は体育館に入る。体操部のコーチが寄って来る。
「西野か?」
「はい」
「そうか、邪魔にならないようにな」
「はい」

俺は体育館の隅の目立たないところに座る。なるべく部員達から気付かれないような場所で。
他には数人の女子生徒がいた。男の見学者は今日は俺だけ。なんだか恥ずかしい。

「あ、西野君。来てくれんだ?」練習の休み時間、片瀬が寄って来る。
汗をかいていて、髪が首筋に少し絡んでいる。ほのかに頬が上気していて色っぽい。が、そんな事は言えない。
「うん」
「なんでそんなところにいるの?」
「いや、邪魔にならないようにと…」
「西野君らしいね」小さく笑う。
「どう?」片瀬は俺の隣に腰掛けて水を飲んでいる。白い喉が鳴る。なるべく見ないようにした。

「そうだね…凄いと思った」
「凄い?」
「なんていうか…細くて小さいのに…力強い。しなやかで、柔らかいんだけど、たくましさも感じる。
俺はオリンピックとかでしか見たことないから、専門的なことは解からないんだけど、入念にストレッチとか準備運動、反復練習をしてたよね?」
「うん」
「そういう、地味な、目立たないけど苦しい基礎訓練をしているから、ああいう凄い動きが出来るんだな、と思った。
実際は、普段の練習はとても地味で、辛そうだ。でも、それを我慢して、本番で披露するから美しく、綺麗に見えるのかなって思った。
白鳥が、地上からは優雅に泳いでる様に見えるけど水面では一生懸命に水を掻いているような」
俺は始めて演技を見た事で、少し興奮気味に話した。

「……。」片瀬はビックリして俺を見てる。
「? どうかした?」
「なんか意外…」
「何が?」
「あ、ごめん、休憩終わりだ。行かなきゃ。あ〜最後まで見てく?」
「うん」
「じゃあ、終わったら、体育館の外で待ってて」
「あ、う、うん」
(体育館の外で待ってて…。「待ってて…」か。)
なんだか俺達が付き合ってるような言葉だな。…少し照れて、しばらく頭の中で反芻していた。

---続く---
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