禁断と背徳の体験告白
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連載作品(体験告白)

真っ白な愛[後編 第7話(完)]|純愛・青春・幼少期

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真っ白な愛[後編 第7話(完)]

読了目安 6分10秒

[作品No 17] 2022/11/28(Mon)
4月にはいって俺たちは別々の学校にいった。
週日はなんだかんだ、忙しくてあえない日さえあった。
でもその代わり休みの日はお互いの家に泊まりにいって一日中べったりした。
だから2人は十分幸せだった。
俺たちは、会うと、学校のことやら、将来のことやらを話し続けた。
俺たちは、年取って死ぬまでの人生設計ができた。
でもそんな幸せな日々も長続きしなかった。
俺たちは運命の女神の残酷な仕打ちをまたぞろ経験する事になるのだ。

あれは、5月半ば過ぎのある日、俺たちは愛美ちゃんのお母さんの誕生日プレゼントを買いに行った。
このときのことは俺は一生忘れることができないだろう。
俺たちはあるデパートの食器売り場を見ていた。
いろんな形や柄の食器が所狭しと並んでいた。
俺たちは、真っ白い食器がならんでいる棚の前に立っていた。彼女は俺の腕を両手で掴んで俺にしなだれかかるようにして、「ねえねえ、わたしの夢聞いて」といった。
「いいよ、なあに?」と俺。
彼女は「私ね、結婚したらね、こういう真っ白な食器をそろえるの」とうっとりした表情でいった。
俺が「真っ白の食器じゃ詰まんないじゃん」というと、「だめ、真っ白じゃなきゃだめなの」といった。
「そうじゃないと、料理の色が綺麗にみえないでしょ」
「そうかな」
「うん、それで、リョウ君においしい物作ってあげるの」と嬉しそうにいった。
「なに作ってくれるの」
「うーん、リョウ君のすきなカレーと・・」
「ああ、おいしそう」
「あと、リョウ君の好きな餃子と・・・」
「ああ、おなかすいてきちゃった」
「あとリョウ君の好きなグラタン」
「ああ、食べたいね」と俺がいうと、愛美ちゃんは「うん、ねー、いいでしょう?」といって俺の腕をさすった。
それから彼女は「ねえ、白い食器買ってくれるでしょ?」といって、俺の肩に頬を乗っけた。
俺は、「うん、じゃあ結婚したらまず最初に白い食器を買おう」といった。
彼女は嬉しそうにニッコリ笑うと、「リョウ君大好き」といって、彼女は俺のほっぺたにキスをした。
俺はこんな、ささやかな事を「夢」といって嬉しそうに話す愛美ちゃんが、愛おしいくて仕方なかった。
同時にこの上なく幸せな気持になった。
このときの彼女の笑顔は俺の脳裏に今でもしっかり焼き付いている。
これが俺が覚えている愛美ちゃんの最後の笑顔だった。

この次の日、彼女は大型トラックにはねられて、帰らぬ人になった。
1人で下校の途中だった。

その日、学校から帰ると、俺の母親が険しい顔をして、玄関で待ち構えていた。
「愛美ちゃんが大変なことになっちゃったの」
俺は彼女の言うことが最初わからなかった。
それから、2人で病院まで駆けつけた。
案内された病室のベッドによこたわる愛美ちゃんには既に息がなかった。
彼女の傍らで彼女の母親が泣きじゃくっていた。
反対側には彼女の父親がうなだれていた。
横には彼女の妹がぼーとして立っていた。
愛美ちゃんは、多少むくんだような顔をしていたが、すやすやと寝ているようにみえた。
俺は最初わけが分からず、「愛美ちゃん」と呼んだ。
彼女は何も言わなかった。
触ると皮膚がひんやりと冷たかった。
今にも目を開けて「リョウ君、おはよう」って言ってキスをしてきそうに見えた。
俺はもう一回「愛美ちゃん」と呼びかけた。
でも彼女は目を開けなかった。

俺には信じられなかった。
つい昨日まで「リョウ君においしい物つくってあげるの」って嬉しそうにいった愛美ちゃんが冷たくなって息をしていないという現実を受け入れることができなかった。
でも俺は、それが変えようの無い現実なのだと言う事に気がついたとたん、俺の両目から滝のように涙がこぼれ落ちた。
俺は大声を上げて泣いた。
「愛美ちゃん、なんで?なんで?なんでなの?」とやりどころの無い気持を、声に出して泣いた。
冷たい愛美ちゃんの亡骸の上に覆いかぶさるようにして泣いた。
泣いたからといって愛美ちゃんが帰ってくるわけではなかったけど、どうしようもなかった。
俺は「愛美ちゃん、僕と結婚するって言ったじゃん」といって泣きじゃくった。
「白い食器、買ってあげるって言ったじゃん」といって泣きじゃくった。
俺は「愛美ちゃん、俺とおじいさんとおばあさんになるまで一緒だって言ったじゃん」と言ってさらに泣きじゃくった。
「どうして?、どうしてだよう?なんで死んじゃうんだよう」
俺は泣いて泣いて泣きつかれて涙腺が乾ききるまで泣いた。
その間、愛美ちゃんのお母さんと自分の母親が俺を交互に抱きしめてくれていた。

俺が、県立高校に受かっていれば、愛美ちゃんは多分死んでいなかっただろう。
俺たちはいつも回り道をして大通りを避けて歩いていた。
ところが、彼女が轢かれた場所は最短距離の大通りを渡る道だった。
俺が県立高校に受かっていたら、あんな危ない場所は彼女は歩いていなかっただろう。
そう思うと悔やんでも悔やみきれなかった。

お葬式が終わった後、俺は、彼女の襟巻きを形見にもらった。
彼女が自分で編んだ俺とお揃いのやつだ。
俺はそれと、愛美ちゃんがくれた自分の襟巻きを、机の上に並べて置いた。
それを見ていると、俺の頭の中に、おそろいの襟巻きをして歩いている自分と愛美ちゃんの姿が目に浮かんだ。
俺はふと思いついたように2本の襟巻きを結んでみた。
おそろいの襟巻きをした愛美ちゃんは嬉しそうに笑った。
俺は結んだままの襟巻きを畳んで引き出しにしまった。
こうしておいたら、俺たちは永遠に繋がったままでいられるような気がした。
今でも時々彼女を思い出して寂しくなると、その結んだままの襟巻きを取り出して頬にあててみる。
そうすると、彼女の元気な声が聞こえてくるような気がする。
俺は1人、彼女に向かって話しかけてみる。
「いいよ、真っ白な食器を買ってあげるよ」って。
愛美ちゃんが嬉しそうに微笑みかえしてきた。

---完---
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