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ショウ君がまた来てくれるという確信もなく、さすがに今度はただ相手が来るのを待っているだけというわけにもいきませんでした。
私はこちらからショウ君に連絡をする決意をしたのです。
ショウ君に直接連絡をする方法を考えるのは容易でした。
出来ればこんな真似はしたくなかったのですが、私はある日の夜、息子がお風呂に入っている隙に、彼の持つ携帯を盗み見しました。
案の定、そこにはショウ君の電話番号とアドレスが登録してありました。
すぐに私はそのアドレスと番号を控え、自分の携帯でショウ君にメールを送ったのです。
『沙耶です、いきなりこんなメールを送ってごめんなさい。あの日のことは私も反省しています。だからもう一度会ってじっくり話がしたいの。なんでもいいので返信お願いします』
そんな内容のメールを送りました。
メールを送った後、この上ない不安でいっぱいになりました。
返信が来ないのではないかという恐れ以上に、返信があったとしても、ショウ君が私と会うことを拒絶してくるという可能性も十分にあったからです。
私のあんな淫らな姿を見て、ショウ君が大きなショックと失望を持ったとしても、全く不思議ではありませんでした。
そんなやきもきした気持ちを抱く中、送信して十分もしないうちに、ショウ君から返信のメールが届きました。
意外にも早い返事に私は驚きました。
心の準備を整えるため、携帯の受信ボックスを開けるまで多少の時間を要しました。
しかしやがて私は覚悟を決め、メール内容を確認しました。
ショウ君からのメールは以下の内容でした。
『俺もまたおばさんと会いたいです。できれば明日でもいいですか?』
そんなショウ君からのメールに今までの不安は一気に消え去り、私は飛び上がりたい気分でした。
私は心躍らせ、すぐさまショウ君に了承の返信をしました。
そして待ち合わせ場所と時間を伝えたのです。
夏休み中ということもあり、ショウ君が平日でも比較的自由な立場にいるのが幸いでした。
私はその日仕事だったのですが、親戚に不幸ができたからと誤魔化し、2時には仕事を切り上げて帰らせてもらいました。
正直、その日はショウ君と会うことで頭がいっぱいで、とても仕事どころではありませんでした。
そのまま仕事先から直接、私は車でショウ君との待ち合わせ場所に向かいました。
しかしそれでも私はショウ君と会うことに細心の注意を払いました。
ショウ君には電車でとある駅まで移動し、そこで待っているよう予め指示しておいたのです。
ある程度地元から離れた場所で落ち合うことで、私たちの密会が知人に目撃されるというリスクを少しでも減らすためでした。
目的の駅に到着すると、すぐにショウ君の姿を確認できました。
久しぶりに見たショウ君の姿に私はもうそれだけで平静を失いそうになりました。
それでも私は、誰が見ているというわけでもありませんでしたが、電車で帰ってきた息子を迎えに来た母親という風を装い、ショウ君を車に乗せました。
そして駅から再び車を発進させたのです。
車内で、私はショウ君があの日以来どんな気持ちで過ごしていたのかを知りました。
ショウ君もまた、私と同じように悶々とした日々を送っていたそうなのです。
あの日、後味の悪い終わり方をしてしまったため、その後、私に会うことをショウ君は躊躇っていたのでした。
それだけに私からメールが来た時は非常に喜び、居ても立ってもいられなかったとのことでした。
ショウ君に嫌われてしまったのではという、私の不安は完全に取り越し苦労でした。
ようやく気が楽になった私たちは、どこに行くというわけでもありませんでしたが、しばらく車を走らせドライブを楽しみました。
私たちは最初、最近ハマっていることは何か、友達との間では何が流行っているのかなど、どうでもいい世間話といった感じの会話をしていました。
最初は緊張して言葉数の少ないショウ君でしたが、すぐに私と2人きりという車内の空気にも慣れてきてくれたらしく、やがてはリラックスしたムードで会話は円滑に進んでいくようになりました。
しかし私もショウ君も単なるドライブデートで満足するわけがありませんでした。
私はショウ君と久しぶりの対面だけに、彼が横にいるというただそれだけで、もう身体が疼いて仕方ありませんでした。
ショウ君も時間が経つにつれ、これからどういう展開になるのだろうといった様子で、どこかソワソワしはじめていました。
「ショウ君、どこか行きたい場所とかある?」
私はそうショウ君に問いました。
「どこでもいいよ」
「じゃあラブホテルにでも行こうか」
軽い冗談で私はそう言いました。
するとショウ君は一気に表情を強張らせてきました。
「いいよ、そこでも」
私に対する強がりとばかりに、ショウ君は動揺を隠すように答えてきました。
「へぇ、そういうホテルが何をする場所なのか、ショウ君はもう知ってるの?」
「馬鹿にしないでよ」
ムッとした表情でショウ君は言ってきました。
必死に大人ぶろうとしてはいたものの、私からそんな提案を受けて以降、明らかにショウ君は落ち着かない様子になっていました。
クスクスと私がそんなショウ君の姿に思わず笑ってしまうと、心外だとばかりにますます彼は不機嫌になっていきました。
「別に俺、ビビってなんかいないから。ただ、今はそんなに金持ってないから、そこの料金とかどうしようって心配してるだけだから」
取り繕うようにショウ君は言ってきました。
私としては、それがいっそう滑稽に感じてならなかったのですが、さすがにショウ君のプライドを傷付けるのも可哀想だったので、私は彼をなだめました。
「冗談よ、冗談」
「別に俺は行ってもいいよ。そういうの気にしないから」
なおもショウ君はムキになって反論してきました。
「そう、じゃあまた今度ね。私も今日、そんなに手持ちがないから他の場所にしましょ」
そう言いながらも本当にどこに行くべきか迷いました。
いくらなんでも小学生の男の子を連れてラブホテルへ行くのはまずい気がしてなりませんでした。
そういう所はホテル従業員と顔を合わせることなく受付や支払いなどができますが、それでも出入り口などに設置された防犯カメラに私たちの姿が映ることを恐れたのです。
体格や容姿といい、ショウ君は幼すぎてとても誤魔化しがきくものではありませんでした。
かといって、その日は息子がいたため自宅へショウ君を連れて行くのも無理でした。
私がどうすべきか迷っているのをショウ君も察したようでした。
「別に俺、車の中でもいいよ・・・」
気恥ずかしそうにショウ君は言ってきました。
その提案に異議はありませんでした。
「じゃあ、あの河原に行こうか?ショウ君との初めての場所に」
私の言葉にあの時の記憶が思い起こされたのか、ショウ君はやや顔を赤らめながら頷いてきました。
そして私はまたあの場所へと車を走らせたのです。
---続く---