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三年前、知人の紹介で初めて会った日から、川村は由紀に夢中だった。小造りな卵型の顔。しっとりと潤いを帯びたアーモンド型の双眸。ふるいつきたくなるように艶やかな唇。豊かに膨らんだ形のよいバスト。きゅんと括れたウエストから、すらりと伸びた見事な脚までのライン。何もかもが川村の好みだった。
由紀が人妻であることは知っていたが、それは川村の邪心を煽り立てる効果しかもたらさなかった。
(何とかして、あの身体を抱いてみたい)
自分の性技に、川村は自信があった。これまで彼に抱かれた女が例外なく、その卓越したセックスの虜となった事実が、彼をますます強気にしていた。
(一度でもやらせてくれれば、俺を忘れられない肉体にしてやるのに……)
だが、由紀のガードは固く、川村の誘いはこれまで何度となく退けられてきた。断固とした拒絶はしない。打合せを兼ねた食事や、それなりに苦労した仕事の打ち上げであれば参加する。だが、その先には決して足を踏み入れさせない。仕事をする人妻として当然ともいえる態度だったが、川村の目には触れなば落ちん風情に映った。
だが、さすがにその状態のまま三年も経つと、川村にも諦めに似た気持ちが強くなる。毎度の誘いは、半ば日常の挨拶と化しつつあった。
今回、六泊を共にする取材旅行でも(あわよくば)という期待がなかったわけではない。だが、それも(どうせ肩すかしに終わるのだろう)ほとんど諦めていたのだ。それが……。
(どういう風の吹き回しかは知らねえけど、このチャンスをモノにしない手はない)
衣服ごしに伝わるみっしりとした肉感。襟元からわずかに覗く胸の谷間が見せる深い闇。何もかも想像していた通りだ。その裸身を思うさま開かせ、組み敷いて身悶えさせている姿を川村はこれまでに何度となく妄想の中で楽しみ、そのたびに自慰に耽ってきた。
(もう少しだ。もう少しで夢が現実になる)
鼻をくすぐる、かすかな髪の香り。川村の陰茎は、すでに痛いほど勃起していた。
「由紀ちゃん。部屋の鍵を……」
何も言わずハンドバッグからキーを取り出し、手渡した由紀の仕草をOKのサインと受け取ったのか、川村はいそいそとドアを開け、中に入った。うかがうように由紀を振り返る。一瞬ためらった後、由紀も続いた。後ろ手に扉が閉められ、かちりとロックが降ろされた。由紀の脳裏に東京で待っている夫・亮輔の顔が浮かんだ。
(あなたが嫌いになったわけじゃない。好き。今でも大好きよ。でも、どこか満たされない気持ちが日に日に高まっていくのを止められない。もうすぐ三十歳。女としての魅力が喪われるのが怖いの。わかってくれるでしょ。許して……)
「ずっと好きだった。初めて会ったときから……。わかってたんだろう?」
由紀の心が変わるのを恐れるように、川村は行動に出た。荒々しく抱きすくめられ、いきなり唇を奪われた。執拗で容赦のないキスだった。侵入してきた舌に、口の中を舐め尽くされる。ためらう舌を巧みにからめとられ、唾液を流し込まれた。
(やっぱり、亮輔とのほうがいい)
そう思おうとするのだが、いつしか由紀のしなやかな腕は川村の背中に回されていた。頭の中がぼうっとなり、白くハレーションを起こしていく。気がつくと進んで舌を絡ませ、男の唾液を飲み下している自分がいた。
立ったまま、ワンピースのジッパーが降ろされ、ふわりと床に落ちる。続いてブラジャーのホックが外されると、八十八センチの乳房がこぼれ出た。重たげに実った、日本人離れしたバストライン。その先端に、男なら誰でもむしゃぶりつきたくなる小豆色の乳輪が息づいている。ひんやりとした外気と共に、川村の射るような視線を感じた。
「ああ、夢みたいだ。綺麗だよ、由紀ちゃん」
放心したように立ち尽くす、パンティ一枚の由紀の身体をベッドの上に横たえると、川村は慌ただしくズボンを降ろしながら、熱っぽい囁きを繰り返した。ブリーフを脱ぎ捨てると、長大な逸物がぶるんと姿を現わした。瞳を閉じている由紀には見えていない。
(すぐにこいつを、おま×こにブチ込んでやるからな。俺の女にしてやるぜ)
心のうちで舌なめずりをしながら、川村は由紀に覆いかぶさっていった。
---続く---