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突然ドアの外から声が掛かった。滋と寛子が思わず顔を見合わせる。声の主は母親である。
「ちょ、ちょっと待って」
流石につながったままではまずいと滋が焦った。ドアに鍵など掛けていない。
「いいわよ、そのままで」
ドアがスーッと開き、母親が強張った表情で入って来た。二人はまだひとつになったままである。修羅場を覚悟した滋だが、母親は思いの外落ち着いた顔をしていた。
「あんた達、いつからなの?」
ベッドに腰を掛けた母親が滋の尻をそっと撫でた。
「私が気が付いてないとでも思ってた?」
「いや、その・・・・・・」
滋が何か言おうとしたが言葉にならない。代わって寛子が口を開いた。
「ママにばれてるのは分かってたよ」
「でしょうね。あんたは女だから」
母親が怒っていないのが滋には意外だった。
「私はね、あんた達がただセックスしたいだけならば、何としてでも止めさせる積もりだったのよ。でも、違うんでしょ?」
「うん」
今度は滋がきっぱりと答えた。
「やっぱりね」
母親がため息をついた。その時、ドアの後ろから万里子が顔を覗かせた。
「あらら、見付かっちゃったんだ」
寛子と滋はつながったままベッドで抱き合っている。その足元に母親が腰掛けているのだから状況は一目瞭然である。
「ま、その方がお兄にもお姉にもいいと思うけどさ」
母親がキッと万里子を睨んだ。
「そう言う万里子だって痙攣切迫、じゃない、清廉潔白って訳でもないでしょ!」
「ギャハハ・・・・・・」
万里子が吹き出し、一呼吸置いてからベーッと舌を出した。母親の冗談がこれからの家族の姿を暗示している。決して修羅場にはならないと万里子は安心したようだった。
寛子と滋はそんな二人のやり取りも耳に入っていないらしい。寛子が滋の目をジッと見詰め、ゆっくりと腰を回し始めた。粘っこい音が部屋に響く。母親がホーッと息を吐いた。
「私たちがいるのに、よく平気でできるね」
母親の顔を横目で見ながら万里子がクスッと笑った。
「まさか、あんたたち、いつも三人でしてたなんて言わないでね」
母親が万里子を睨んだ。
「流石にそこまでは無いよ。だいたい、お兄はお姉しか見てないもん」
「みたいね」
コクコクと動き始めた滋の尻を母親の手がそっと撫でた。
「あんた達の気持ちも分からないじゃないけど」
「どう言うこと?」
万里子も一緒に二人の腰を覗き込んだ。
「寛子は可愛いでしょ。万里子もあと二年もすればかなりいい線行くと思うけど」
「うん。その二年の差が決定的なんだよね」
「万里子も滋とエッチしたんでしょ?」
「うん、五回くらい」
「呆れた」
そう言う母親の手が滋の尻を分けて潜り込んだ。
「わ、ママ、何してるの?」
万里子が目を丸くして母親の指先を見詰めた。
「ママって、こういうの苦手じゃなかったっけ?」
「もう建前言っても意味ないでしょ。私はあんた達より二回りも年上なのよ」
「ふうん」
母親の指先が滋の根元を摘み、回すような動きを加え始めた。
「えっ、ママ」
寛子が戸惑った声を上げた。
「そうよ。気持ちいいでしょ?」
「うん」
寛子が腰の動きを止め、母親の指に任せた。滋も僅かに腰を浮かせ、母親の指が動きやすいようにした。咎めると思っていた母親の思い掛けない行為に他の三人が口をつぐんだ。
「セックスだけなら飽きれば終わるんだけど、滋と寛子はそれだけじゃないのよね」
「うん」
ようやく寛子が小さな声で答えた。
「寛子も万里子も、他に比べる相手がいない位可愛いから困るのよ」
滋が振り返って後ろの母親を見た。
「うん。寛子は自分でもクラス一の美人だって言ってる。クラスだけじゃないな。知ってる限りで一番かも」
「普通はね、身内には採点が辛いから恋の対象にはなりにくいんだけど」
母親の指がクネクネと動きを強め、寛子が小さなうめき声を上げた。滋はさっきから歯を食いしばって必死に堪えている。
「ママ、駄目・・・・・・いきそう・・・・・・」
滋が切れ切れに訴えた。
「いきなさい。しっかりいって、落ち着いてから話そう」
「ママ・・・・・・」
寛子が母親の手を上から握りしめた。
「ウッ」
滋が呻き、尻を突き出した。寛子も両足で突っ張り、尻をグリグリと押し付ける。甘酸っぱい匂いが急に強くなった。万里子が覗き込むと寛子がヒク、ヒクと滋を締め付けていた。
「そんなに気持ちいいの」
母親が呆れたように娘の動きを指先でなぞった。
「ママ、駄目・・・・・・」
寛子が両手でシーツを握りしめた。
「あんたが羨ましいかも」
母親が滋に指を戻した。
「いったのに、こんなに固いんだ」
「えっ、パパは一回だけなの?」
万里子が母親の顔を覗き込んだ。
「この際だから言っちゃうね。もう十年近くしてないのよ」
「ひゃあ、十年も。それで、平気なの?」
「平気だったわ」
「だった・・・・・・」
「うん。でも、寛子と滋見てると切なくなっちゃった」
「分かるかも。私だって二人の見てると混ざりたくなっちゃうから」
ようやく滋が腰を上げた。寛子が切なそうに尻を上げて付いて来る。滋がヌルリと抜け、青臭い匂いが部屋に満ちた。
「ああ、この匂いよね。もうとっくに忘れてたわ」
母親が顔を近付けて鼻をすり寄せた。
「お口できれいにして上げたら?」
万里子が悪戯っぽい眼で母親をけしかけた。
「いいの?」
母親が寛子に聞いた。
「ママの息子だから、いいも悪いも無いでしょ?」
寛子がほっぺたを膨らませ、プッと吹き出した。
「そう言われるとやりにくいわね」
それでも母親はためらいも無く滋を口に含んでしまった。
「えっ、ママ・・・・・・」
滋が困ったような顔をした。
「ねえ、ママ」
寛子が上体を起こして母親の口元を覗き込んだ。
「ンン?」
母親は滋から口を離さない。
「パパとはもう駄目なの?」
一呼吸置いて母親が小さく頷いた。
「やっぱりかあ。じゃないとお兄を舐めたりしないよね」
ようやく母親が顔を上げた。ゆっくりと吐き出された滋がプルンと揺れた。
「滋も寛子も、今の関係をやめる積もりなんて無いんでしょ?」
母親が滋と寛子の顔を交互に見比べた。
「やめるとか、やめないとか、そんな話じゃなくなってるよ」
滋が寛子の肩を抱き寄せた。
「エッチが気持ちいいから寛子を抱くんじゃない。寛子が好きだから、それを示すために思いっ切りエッチする、そんな感じなんだ」
「分かってるわよ」
母親が二人の肩を抱き締めた。
「でもね、一つだけ確認させて」
「何?」
寛子が母親の目をジッと見詰めた。
「あんた達は男と女じゃなくなっても、死ぬまで兄妹なのよ。その意味、分かってる?」
「うん。私だって随分考えたんだよ。兄ちゃんが他の女のところに行っても後悔しないかって。だから、美千代のことをけしかけたのも、お兄のためなんかじゃなかったんだ。もし行きっぱなしになっても堪えられるか、自分を試したの」
寛子が滋に抱き付いた。
「お兄が他の女のところに行っちゃっても、私は大丈夫だよ。お兄が幸せになれるんなら、我慢するよ」
「馬鹿ねえ。そんなこと今から考えたって何の意味も無いわよ」
母親が笑いながら寛子の頭を小突いた。
「二人とも先のことなんか約束しないで、今を大事にしなさい。あんた達が真剣なら、出来る限り応援するわよ」
「僕たちが兄妹でも?」
「それで駄目だって言うんなら、あんた達がセックスしてるって気が付いた時に家から叩き出してるわよ」
母親が万里子の顔を見た。
「しかしまあ、あんたも白々しい嘘をついてくれたわね」
「だってえ、お兄とお姉を応援しようって必死だったんだもん」
「まあ、それも滋と寛子の仲を認める切っ掛けになったことは確かだけど」
万里子が一人ずつ三人の顔を見比べた。
「あーあ、やっぱ二年の差は大きかったなあ」
そう言いながらも万里子が悪戯っぽい目で寛子を見た。
「でもさあ、美千代さんの時の貸し、忘れないでね」
「ああ、エッチ五回って言ってたわね。いいよ、今すぐでも」
「ううん、あと二年して、私が今のお姉と同じ歳になったら、その時にね」
「やな子ねえ。まだ張り合うつもり?」
「ううん。張り合う気は無いよ」
「どうだか」
気が付くと母親の指が滋の前をまさぐっていた。
「ふふ、私よりママの方が危ないかもよ」
万里子が笑いながら母親の手をその上から握りしめた。
「ちょっとお、いくらお兄が元気でも、三人全部じゃ無理だよ。ね、お兄?」
寛子が二人の手をはがして滋を口に含んでしまった。
---完---