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仁美は周りから何で滋と付き合うのか聞かれると正直に事情を話した。結果として滋は名誉を回復し、早苗の評判はがた落ちになった。この手の噂は本人が否定しては逆効果である。第三者の仁美が担任教師の話として真実を伝えたのが功を奏したらしい。
こうして付き合うようになった滋と仁美だが、今一つのところで二人の仲が進展しない。仁美がキスはおろか、肩や手に触れられることさえ拒んだのである。
思い余った滋が母親に相談した。
「ねえ、自分から告ったくせに、仁美さんはキスもさせてくれないんだ。なぜだと思う?」
「うーん、何か訳がありそうね。焦っちゃ駄目よ」
「うん、分かってる」
「どうしてもエッチしたくなったらママに言いなさい。何とかして上げるから」
「ママに何とかできるの?」
「ママは女だから、仁美さんの気持ちが分かるかも知れないから。それで、嫌だって言われた時のこと、もうちょっと詳しく話してごらん」
「うん」
滋がボソボソ話し始めた。
滋に告白してからの仁美は何事によらず積極的だった。学校の帰りも必ず滋の教室まで迎えに来る。校門を出るといつも滋の腕を抱えた。あいつら出来てる。そんな噂が周りで囁かれていた。
しかし、滋が仁美の手や肩に触れようとするとビクッとしたように身体が逃げた。仁美はすぐにニコッと笑って滋の手を握るのだが、次の機会に滋から手を握ろうとするとまた仁美が逃げた。
「あんた達、付き合い始めてどれくらいだっけ?」
純枝が聞いた。
「学園祭の前だから、もうすぐ一ヶ月かな」
「一ヶ月か。ちょっと長すぎるわね」
「でしょ」
純枝が滋の目をジッと見詰めた。
「仁美さんは平気で滋の手を握ったり、腕組んだりするんだから、滋のことは嫌いじゃないわ。それは間違いないと思う。嫌いだったら絶対自分から触ったりしないから」
「うん。それは間違いないと思う」
「でも、滋が触ると嫌がるのね?」
「うん」
「きっと昔、何か嫌なことがあったんだと思うわ」
「嫌なことって?」
「一番考えられるのがレイプかな」
「レイプ・・・・・・」
滋が考え込んだ。
「滋は、もし仁美さんがレイプされてたら、嫌?」
「分からない」
「大事な事よ。もし、仮にだけど、昔そんなことがあったとしても、仁美さんは全然悪くないのよ。むしろ可哀想なの。そんな仁美さんを優しく受け止めて上げること、できないかな?」
「そっか、仁美さんは何も悪くないんだよね」
「当たり前よ。男だったら、そのくらい優しくなれなきゃ駄目」
純枝が滋の手を両手で握りしめた。
「仁美さんとは、キスも、エッチも考えないこと。仁美さんがその気になるまで、辛抱強く待てる?」
「待つって、どのくらい?」
「さあ、それは仁美さんの心の傷次第。一年でも二年でも待つ気になれる?」
「そんなに長く」
「その位の覚悟は付けておいた方がいいわ。って言うか、そのくらい仁美さんのことが好きかどうか。大事なのはそこよ」
滋が暫く考え込んだ。
「うん、やっぱり仁美さんが好き」
ようやく答えた滋が純枝の目を見た。
「ママの言う通りかも知れない。僕、いつも仁美さんとエッチしたいって思ってた。仁美さんもそれが分かったんだよね?」
「うん。そう言うのって筒抜けだから。でも、別に悪い事じゃないのよ。好きになったらエッチしたくて当然。それは隠さなくていいの。本当は女の方がエッチしたいの。顔や口には出さないだけなのよ」
「そうなの?」
「滋もその内分かるわ。キスも、エッチも当分我慢しなさい。我慢してれば仁美さんの方から何かして来るから」
純枝がニッと笑った。
「オナニーだけじゃ、我慢できないかな?」
「えっ?」
滋がうろたえた目で純枝を見た。
「どうしても我慢できなくなったら、その時はママが相談に乗って上げるから」
「うん」
滋が照れたように下を向いた。
翌日、純枝が昭彦に電話を入れた。
「ねえ、今から行っていい?」
「いいよ。何かあったか?」
「まだ。その前にあなたと話がしたいの」
「分かった。待ってるよ」
昭彦のマンションに着くと純枝はあっと言う間に裸になり、勢い良く抱き付いた。
「お願い」
昭彦も苦笑しながら服を脱ぎ捨てた。
昭彦がそっと指先で探ると純枝は既にびしょ濡れになっていた。こういう時は回りくどい前置きは必要ない。そのまま昭彦が重なると純枝が大きく喘いだ。
純枝はいつもより締め付けがきつい。滋よりも純枝の方が切羽詰まってるなと昭彦が苦笑した。十分もしない内に純枝が達して身体を震わせた。
「滋に教えたくなっちゃった。その方が落ち着いて待てるような気がするんだ」
ようやく落ち着いた純枝が言った。
「やめとけ」
昭彦が笑いながら答えた。
「まだ体験してなくても、一応彼女ができたんだから、もう大丈夫だ。教えたいと思うのは純枝の嫉妬と言い訳だよ」
「意地悪」
純枝が昭彦の脇腹をつねった。
「でも、あなたの言う通りかも。だから抱かれに来たの。私、もう限界」
「みたいだな。やばくなったら、いつでもおいで」
「うん」
また純枝が動き始めた。昭彦が姿勢を入れ替えて下になる。
(今晩寝られるかな)
昭彦がまた苦笑した。
---続く---