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夜になって純枝が風呂に入っていると突然功が扉を開けて入って来た。
「やだ、出てって」
そう叫んだ純枝が功の目を見て凍り付いた。それは最早人間の目とは思えなかった。欲望剥き出しのギラギラした目ですらない。獲物を狙う蛇の目、冷たい復讐の炎を宿した血も凍るような冷たい目だった。その瞬間、純枝は全てを覚悟した。
裸になって入って来た功は純枝の体を舐め回した。大して膨らんでいない胸は素通りして気持ち悪い舌が純枝の股間を執拗に這い回る。
後ろ向きにさせられ、股間に激痛が走った。功のものが一気に侵入して来たのである。白いタイルに鮮血が滴となってこぼれ落ちた。功はそのまま強引に抜き差しを始めた。思い切り内臓を突き上げられると、また別の痛みが純枝を襲った。あっと言う間に功が果てた。
風呂から上がった純枝は功の部屋に連れて行かれた。四つん這いにされ、無理矢理口をこじ開けられた。さっき抜かれたばかりの、まだ自分の鮮血にまみれたものが無理矢理押し込まれた。よっぽど食い千切ってやろうかと思ったが、かろうじて踏み留まった。
その晩、純枝は何度となく功に陵辱された。それはレイプと呼ぶに相応しい。そんな酷い目に遭いながら、純枝はこの先功がどうする積もりなのか心配した。ようやく功の興奮が収まったのを確かめて純枝が言った。
「兄ちゃん」
功は答えない。
「兄ちゃん。ごめんね」
功が驚いたような顔で純枝を見た。
「私がママに言いつけたから、兄ちゃんの耳がつぶれちゃった。ごめんなさい」
功の顔が崩れて泣きそうになった。
「ねえ、今日のこと、黙ってて上げるから、もう乱暴にしないでね」
功が突然泣き出した。訳の分からないことを叫ぶと服を持って部屋から飛び出して行った。その晩、功はとうとう帰って来なかった。
純枝は風呂場に戻って血の跡を丁寧に始末した。まだズキンズキンと傷口が痛むが、そんなことは気にせず、マットについた血も丁寧に洗ってから洗濯機に入れる。功の部屋から剥がして来たシーツも手洗いして血の跡を落としてから洗濯機に押し込んだ。
翌朝戻って来た母親が功の不在の訳を尋ねたが、純枝は白を切り通した。留守中のことを怪しんだようだが、平然と話す純枝の態度に口をつぐんだ。母親は夜になって帰って来た功を見ても黙っていた。
その後、再び兄が純枝に乱暴することは無かった。中学を卒業して一応高校に入った功だったが、結局途中でやめてしまい、家を飛び出して行方知れずになった。次に純枝が兄に出会った時、功は白い棺に収まっていた。
兄の遺品の中から純枝宛の手紙が見付かった。書いては見たものの、出せずにずっと仕舞い込んであったらしい。
「この世で一番大切な純枝へ、
ごめんな。俺はとんでもないことをしてしまった。
お前の一番大切なものを、下らない俺の意地で踏みにじってしまった。
最初にお前に悪戯したとき、あれは純枝が好きだったから、ついついやってしまったんだ。
そりゃあ、女の体には興味があった。おまんこにも触りたかった。でも、純枝のことが好きだったから、純枝のおまんこに触りたかった。
あの時、オヤジもお袋も俺の言うことは何にも聞いてくれなかった。頭ごなしに怒鳴りつけた。鼓膜も破られた。本当は、オヤジとお袋に復讐したかった。純枝に乱暴することで二人が苦しむ。だからやってしまった。
でも、反対にお前に謝られて、俺が犯した罪の大きさに気が付いた。お前に土下座して謝りたかった。でも、出来なかった。
今は何も出来ないけれど、俺は必ず償いをする。その時まで待っててくれ。そして、こんなこと言えた義理じゃないけれど、もし俺を許してくれるなら、もう一度だけ、お前を抱かせてくれ。 馬鹿な兄貴より」
純枝はその手紙をそっと胸にしまい込んだ。
その手紙を読んだのは純枝が十七歳の時。それまで純枝は他の誰にも肌を許していなかった。もし功が戻って来たら、もう一度抱かれよう。それで二人の間にわだかまっているものを水に流そう。そう思っていたのである。その功が死んでしまった。純枝は心の封印をそっと破り捨てた。
「やっぱりそうだったのか」
昭彦が感慨深げに言った。
「何となくそう思ってたんだ。功くんの葬儀の時、一番ショック受けてたのが純枝だったからなあ」
「うん。私、兄ちゃんの帰りを待ってたからね」
「純枝が後ろからされるのが嫌いな原因、功くんだな?」
「そうかも。私の数少ないトラウマの一つじゃない?」
「でも、不思議と功くんのことは憎んでないんだな。もし功くんが生きてたら、俺じゃなく功くんに抱かれに行ってたろう」
「多分」
「ところで、滋くんの話に戻すか」
「うん」
「本気で教える気か?適当に大人のヌード写真とかポルノでも見せるだけじゃ駄目か?」
「滋の性格からすると駄目ね。その辺のことも考えたけど、やっぱり実地に教えた方がいいと思ったの。それで覚悟を付けに来たの」
「そこまで考えてるなら俺は止めない。でも、やるからには生半可じゃ駄目だぞ」
「分かってる」
「セックスするだけなら簡単だ。若いんだからすぐ飛び付いて来る。問題はその後だ」
「兎に角、大人の女を怖がらないで、平気で抱けるようにしてやりたいの」
「そうは上手く行くか。今度は純枝にしがみつく。それこそ幾つになっても母親のおっぱいから離れられなくなるぞ」
「そこなのよ。その辺の意見が聞きたいの」
「確かに幼い子供を性の対象として見なくさせるのが先決だ。それには純枝が教えると言うのは確かに手っ取り早い。セックスが自分勝手なものじゃないと言うことも分かるだろう。その次の段階は、他の女に、出来れば同世代の女の子に目を向けさせることだが、こいつは案外難しいぞ」
「久江さんとの時はどうだった?」
「久江さんには悪いんだけど、二年もしたらもっと可愛い女の子に目が行くようになったよ。上手い具合に同級生の子と仲良くなれたんで、そっちに行っちゃった」
「私もそうなるような気がしてるんだけど」
「純枝の場合は微妙なところだ。年齢的にはオバサンでも、まだまだ女として十分魅力的だから」
「もういい歳よ」
「そんなこと無いさ。女盛りだよ」
「どうしたらいいと思う?」
「旦那とのセックスを思い出してご覧」
「どう言う意味?」
「どのくらいで旦那が純枝に飽きた?」
「あっ、そう言う意味。そうねえ、一年位したら面倒臭そうな感じになってたわ」
「いや、結婚前も含めてだよ」
「それだったら、三年弱かな」
「その位、覚悟出来るか?」
「そっか、滋に飽きが来るまでなんだ」
「うん。するのが当たり前になってから三年。結構長いぞ」
「やっぱり相談して良かった。もっと軽く考えてたわ」
純枝が昭彦の唇を激しく求めた。
「ねえ、もう一度抱いて」
「分かった。最後に一つだけ」
「何?」
「滋くんが純枝の手を放れるまで、俺には会いに来るな」
「分かってる。だから、もう一度抱いて欲しいの」
昭彦が純枝の足を顔の横まで持っていき、体を真っ二つに畳んだ。その上から逆さ向きに乗りかかって来る。昭彦の足を掴んだ純枝が顔を上げた。そこには生々しい昭彦の姿があった。交わっている部分さえ見えている。激しい刺激の中で純枝はあっと言う間に何も分からなくなった。
---続く---