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息子の部屋の床にへたり込んだ純枝が思わず口に出した。
年末を目前にしての大掃除で息子の部屋に入ったのだが、まさかこんなものが出て来るとは思いも寄らなかった。
ベッドの下から大量に出て来たのは写真集である。それもただの写真集ではない。いわゆるロリコン系で、幼い割れ目がくっきり写っているものばかりだった。
近頃は影を潜めたが、一時期、ヘアの生えていないものは性器とは言えないみたいな論法で、まだ胸も膨らんでいない幼女の写真集が大量に出回った時期がある。どうやら古本屋でその手の写真集を買い集めたものらしい。
最近は幼児ポルノの規制が厳しくなっている。単に所持しているだけでも処罰の対象にする法案が検討されているらしい。もし、それが通れば処分しなければならない代物ばかりである。
息子の滋も今年高校生になった。女の裸に興味を持っても不思議はない。いや、持たない方がむしろ心配なくらいである。純枝は息子が毎日欠かさずオナニーしていることも知っていたし、そう言うときにはパソコンでヌードやDVDを見ていると思っていた。
ところが、ヌードはヌードでも、まさかこんなに幼い女の子のものとは。純枝は出て来た写真集をなるべく元あったように気を配りながらベッドの下に戻した。
残りの掃除を済ませて息子の部屋から出る。こう言う時こそ父親がいればいいのだが、その父親とは不倫が原因で去年別れてしまい、現在は滋と二人暮らしである。
幸い純枝には実家から引き継いだ不動産があり、そこからの月々の家賃収入があるので滋の親権は渡さずに済んだ。不倫相手も子持だったので夫の方も最初から滋の親権は放棄する積もりだった。女親が親権を確保するのは容易なことではない。
それ以来、純枝はテレビで幼女誘拐や行方不明事件のニュースを見る度に、息子じゃないかと気になって仕方がない毎日を送るようになった。
そんなある日、とうとう決定的な出来事が起きてしまった。その日はたまたま近所の寄り合いが純枝の家で行われた。地域のお祭りで模擬店を出そうという話が持ち上がり、その打ち合わせに近所のママさん達が集まったのである。その一人が小学四年生の女の子を連れて来た。
話が盛り上がっているうちに純枝はその女の子の姿が見えないのに気が付いた。家の外に出た気配はない。純枝は嫌な予感がした。
「ちょっとごめんなさい」
仲間に断って中座する。足音を忍ばせて階段を上がって行くと案の定、息子の部屋から女の子の声が聞こえた。
「やだあ、くすぐったい」
その後でキャッキャと笑う声が聞こえる。覗くわけにも行かないので純枝は聞き耳を立てた。
「ねえ、お兄ちゃん。何で変なとこばっか触るの?」
また女の子の笑う声が聞こえた。
「狡い、私にばっか触って。今度は私の番」
暫く沈黙が続いた。
「すごーい、こんなに大きくなるんだ」
「うん、ほら、握ってごらん」
ようやく滋の声がした。話の内容からするとお医者さんごっこらしいが、その相手が高校生では女の子の母親に言い訳のしようがない。
「わっ、面白い。ピクピクしてる」
最早一刻の猶予も出来なかった。もしこのまま放っておいて無理矢理挿入などされては取り返しがつかない。小学生だからと言っても安心は出来ない。純枝の小学校時代、同級生の一人もレイプでこそなかったが、中学生の兄との関係が明るみに出て大問題になり、家族揃ってどこか遠くに引っ越して行った。
純枝は足音を忍ばせて一旦階段を下り、今度はわざと足音を立てながら登り返して行った。
「滋、淳子ちゃんの姿が見えないんだけど、知らない?」
外から声を掛けると部屋の中で慌ただしく身繕いする気配がした。
「なっ、何?ママ」
「淳子ちゃん、見なかった?」
「ああ、淳子ちゃんなら、ここにいるよ」
「何だ、あんたの部屋で遊んでたの。それならいいわ」
純枝が降りようとするとようやく滋がドアを開けた。
「淳子ちゃん、もう帰るの?」
「まだ、もうちょっと。そうだ、淳子ちゃん、ケーキ食べる?」
「食べるぅ」
淳子ちゃんが部屋から出て来た。慌てて滋がブラウスを着せたらしく、ボタンが掛け違っていた。
「あら、淳子ちゃん。ボタンが変よ」
何食わぬ顔で純枝がボタンをはめ直した。このままでは母親に気付かれてしまう。後ろで滋がばつの悪そうな顔をした。
---続く---