禁断と背徳の体験告白
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連載作品(官能小説)

よき妻V/卒業後[第2話]|寝取り・寝取られ

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よき妻V/卒業後[第2話]

読了目安 5分35秒

[作品No 2] 2024/ 7/ 4(Thu)
 伯父夫妻宅での暮らしは最初のうち、静穏そのものだった。

 もちろん、平日の昼間は伯父は会社に出かけていて留守にしているから、遼一が主に顔を合わせるのは伯母のみである。
 N高校への受験を控えた大事な夏休み、と伯父も母も言っていたが、遼一自身は格別N高へ行きたいと情熱を燃やしているわけでもなかった。何かにつけ器用で、根本では生真面目な性格が勉強の場でも生かされて、学年でもトップの成績を堅持しているうちに、担任と母の間でN高受験の話が盛り上がってしまっただけである。
 やれやれ、というところだったが、期待をかけられているならそれに応えようと努力しないではいられないのが、遼一の性格であった。
 それに、不測の事態で暮らすことになったこの伯父夫妻宅は、テレビすらろくろくつけないような家らしく、TVゲームなどあるはずもない。周囲には友達の一人も住んでいない。となると、残りは本を読むか、勉強でもするかぐらいにしか、暇つぶしの選択肢がないのだ。
 その日の午前中も、遼一は間借りしている伯父の書斎でずっと机に向かっていた。昼になってようやく机から離れ、居間へ足を運んだ。
 伯母はくるくると忙しそうに台所を掃除していた。この家に来て分かったことだが、伯母は滅多に腰を落ち着けて休んだりしない。いつもあれこれ仕事を見つけて、その仕事に打ち込んでいる。一日の半分はテレビに向かってごろごろしている母に見せてやりたいが、一方でそんなに毎日毎日、部屋の隅々まで掃除する必要もあるまいにとも思った。
「あ、ごめんなさい。昼御飯、今から用意するところなの」
「ううん、かまわないよ。そんなに腹減ってないし」
 何しろ、朝から机の前に座っているだけなのだ。
「それにしても、本当に感心するわ。凄い集中力。京子さんも立派な息子さんを持って幸せね」
「別に―――他にすることもないから、やってるだけだし」
 伯母に誉められたのが嬉しくて照れくさかった遼一は、わざと素っ気無い口調で言葉を返した。
 伯母は申し訳なさそうな顔をした。
「ごめんなさいね。遊ぶものも、遊び相手もなくて、退屈してるでしょう」
「でも、仕方ないから」
「私が何か面白い話でもしてあげられたらいいんだけど」
 ・・・いったい伯母は自分のことをいくつだと思っているのだろう。遼一はちらりと不満に思ったが、伯母の困ったような顔を見ると何も言えなかった。
「あ、この近くにさ、図書館ないかな? ちょっと気分転換に外で勉強したいし、本も読みたいから」
「あるわ。―――そうね、私も本を返さなくてはならないし、一緒に行ってもいいかしら」
「もちろん」

 と、いうわけで、昼食後、伯母と並んで近所の図書館へ向かった。
 伯母は半袖の白いブラウスに濃紺のロングスカートという、いたってシンプルな装いだ。
 遼一の年頃にもなると、たとえば母と連れ立って道を歩くことも羞ずかしい。知り合いに見られたらと思うと、ドキドキする。この街には知り合いもなく、横にいるのは母親でもないのだが、遼一の胸はなぜか息苦しいほど高鳴っていた。
 遼一は家族友人の間ではひょうきん者でとおっているが、本来はとても大人びた思考をする少年である。だからこそ、同年代の女の子よりも、年上の落ち着いた女性に惹かれるのだが、伯母に対する気持ちはそれとも違っているように感じる。
 母の京子などが言うように、伯母はたしかに落ち着いていて、しっかり者でもあるのだが、それとは裏腹に、時折、ふと頼りない、というか、不安げな少女のような表情を見せる。普段の佇まいに似合わない、一瞬の不安定さのようなものを垣間見るとき、遼一の胸は騒ぐ。・・・やっぱり言葉ではうまく説明できないが。

 街路樹の蝉がうるさいくらい、元気よく大合唱している。

 図書館はマンションの立ち並ぶ坂の上にあるのだ、と伯母は歩きながら説明した。
「それにしても遼一君は凄いね。N高校って難しい学校なんでしょう? 私は大学も出ていないからよく分からないのだけど」
 少し意外に思った。遼一の感覚では、大学には皆が皆、当然のように行くものと思っていた。父も母も伯父も大学は卒業しているはずだ。
「受かるかどうか、分からないよ」
「きっと大丈夫だと思うけど、受かるといいね」
「・・・・うん」
 答えながら、遼一は、斜め前の道を日傘を差して歩く伯母の眩しいうなじから、目を逸らした。

 坂上の城跡に造られた公園の隣に、図書館はあった。
 入り口の前で伯母と別れ、遼一は二階の勉強室へ向かう。
 さっそく参考書を開いたが、妙に胸がざわめいていて、本の中の文字や記号に集中することが出来なかった。
 しばしの後、遼一は諦めて席を立ち、勉強室を出た。
 階段の傍の廊下の窓から、中庭を見下ろすと、伯母が木陰のベンチに座っていた。本を読むでもなく、ただそこに座って正面を向いているのだが、その顔に漂う奇妙な静けさと、まなざしの形容しがたい複雑な色が遠目からでも窺えて―――

 どきり、とした。

 いつものしっとりと落ち着いた表情でも、時折覗かせる少女の顔でもない、遼一の知らない伯母のもうひとつの貌―――
 その頃の遼一の辞書には知識としての言葉しかなかったが、何年後かにこの瞬間のことを思い出したとき、遼一はようやく、そのとき伯母を見て自分が感じた感情を形容する言葉を探り当てることが出来た。
『艶めかしい』
 遼一はあのとき、たしかにそう感じていたのだ。

---続く---
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