禁断と背徳の体験告白
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連載作品(官能小説)

二人の妻[第42話]|人妻・不倫・浮気

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二人の妻[第42話]

読了目安 3分37秒

[作品No 42] 2024/ 4/26(Fri)
「あの……」

江美子は気になってバーテンダーに問いかける。

「この前ですが、私、酔っ払っておかしなことを話していませんでした?」
「いえ」

バーテンダーは再び微笑して首を振る。

「お客様の会話は聞かない様にしていますので」
「そうですか……」
「どうかされたんですか?」
「なんだか、酔っ払って、その……とてもプライベートなお話をしたような気がして……後悔していたんです」

バーテンダーは少し考えるように首をかしげていたが、やがて口を開く。

「でもたぶん、ご心配は要らないと思いますよ」
「えっ」
「お客様は店の中ではとてもしっかりされていました。だから私も強めのカクテルをお勧めしていたのです」
「そうですか」
「ただ、途中でお手洗いに立たれて、それから急にご気分が悪くなられたようですね。まもなく中条様に抱えられるようにしてお帰りになりました。それで、少し心配していたのです」
「そうなんですか……」

すると、自分は突然酩酊状態になったのであって、その後は少なくともバーでは麻里との会話は交わしていないということか。

それまでどうもなかったのに、急に酒がまわるということは考えられないことではない。まして、バーテンダーの作るカクテルが美味しく、もともとそれほどアルコールに強くない江美子がついつい飲みすぎてしまったとしても不自然ではない。

「麻里さん……中条さんはこの店は良く来られるんですか」
「はい、ご贔屓にして頂いています」
「あの、麻里さんは私のことに関して、何か前もってお伝えしていたのでしょうか」
「大事なお友達だからよろしくとおっしゃっていました。お料理もお酒もお好きだと」
「そうですか」

江美子は考え込む。麻里がバーテンダーに伝えたことは単なる社交辞令で、それほど意味のないことかもしれない。しかし、なぜか江美子にはひっかかるものがあった。

(わざと酔わせようとしたのかしら……でも、いったい何のために)

いや、それは考えすぎだろう、と江美子は思い直す。江美子は自分が酒に強いとも弱いとも麻里に対して伝えた覚えはない。江美子がもし酒に強ければ、数杯のカクテル程度で正体をなくすほど酔わせることは不可能なのだ。計画的に酔わせるなど、予め江美子の酒量を知っていないと出来ないことだ。

江美子がそんなことを考えていると、バーテンダーの「いらっしゃいませ」という声がする。顔を上げると麻里が微笑しながら江美子に近づいてくるところである。

「お待たせ、江美子さん」

麻里の姿を目にした江美子は、思わず息を呑む。

(髪型が変わっている──)

以前の麻里の髪型は短めの黒髪とはいえ、江美子のものとは違いウェーブが強めにかかったものだった。しかし、今は江美子の髪型とそっくりというわけではないが、かなり近いものになっている。

服装もそうである。前回会ったときはインテリアコーディネーターという職業柄か、明るめでファッショナブルな装いだったのだが、今日の服はそれに比べるとスクエアなもので、銀行の営業に就いている江美子が着るものに近い。

要するに、麻里の外観は、前回に比べて江美子に非常に似てきているのだ。

(どういうつもりなのだろう──)

江美子はすっと背筋が寒くなるような気がする。

「麻里さん、その髪型は……」

思わず江美子が尋ねると、麻里は微笑を浮かべたまま平然と答える。

---続く---
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