禁断と背徳の体験告白
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連載作品(官能小説)

侵略[第四章 沈黙する決意]|寝取り・寝取られ

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侵略[第四章 沈黙する決意]

読了目安 2分41秒

[作品No 4] 2024/ 3/31(Sun)
 翌日曜日。朝食を終えると修造は出て行った。
「何だか名残り惜しいわ。もう少しゆっくりしてくださればいいのに……」
「亜紀美、無理言っちゃいけないよ。叔父さんには叔父さんの都合があるんだから」
 これで自分と亜紀美の家庭を立て直せる。修造という男の恐ろしさを妻に説き、再び侵りこむことのないよう防御を固めればいい。
(あの頃とは違う。両親の二の舞いを演じてなるものか。俺は決して、あいつになど負けはしないんだ)
 台風一過。私は頬が緩むのをどうしようもできなかった。

 だが、わずか数時間後、修造は再びわが家のチャイムを鳴らした。焦燥の末の安堵に心を緩めていた私は完全に虚を突かれる格好となった。
「あ……ど、どうしたんですか、叔父さん?」
「何だか胃の辺りがシクシク痛み出してね。昨夜呑み過ぎたせいだとは思うんだが、何だか不安になってしまって……。ひょっとすると重い病かもしれんし、どうせ死ぬなら身内のそばでと思ってホテルを引き払ってきたんだ」
 冗談じゃない。これが瀕死の男の顔色なものか。
「そりゃあ心配ですね、だったら早く病院へ行ったほうが……」
「……でしたら、どうぞうちへいらして。大歓迎ですわ。ねえ、あなた」
 言葉を遮られた私に、修造が意思を込めた目配せを寄越す。
「親戚とはありがたいものだね。こいつの父親はもちろん、母親とも親しく付き合わさせてもらったもんです。今また、謙一郎の嫁さんに優しくしてもらえるなんてねえ……」
 気勢を殺がれた。両親のことを持ち出されては、私は沈黙するしかない。

「ありがとう。で、世話になるお礼というわけではないんだが、近江牛のいいところを買ってきたんだ。すき焼きでもどうかな?」
「あら、主人も私も大好きなんですよ、すき焼き。じゃあ早速、支度をしますわ」
 胃の痛い男がすき焼きだと? その矛盾に気づかない亜紀美はどうかしている。そして、姦計と知りつつ一言の反駁すらできない自分も……。
「私も手伝うよ。料理にはいささか自信があってね」
「まあ頼もしい。謙一郎さんはそっちのほうはからきしで……」
「ほう。それじゃあ何か別のほうがバッチリというわけか」
「いやだわ、叔父さまったら。そういう意味じゃあ……」
 この手の猥談に免疫のない亜紀美が頬をほんのり赤らめる。
「わかってるさ。ジョーク、ジョーク。はははは」

 思えば、この時が貪欲な食客の牙から家庭を守りうる最後の機会だった。私はそれをみすみす逸したのである。
 そのまま修造は、わが家に居ついてしまった。無論、病気の気配など微塵もないままに。

---続く---
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