禁断と背徳の体験告白
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連載作品(官能小説)

侵略[第三章 交錯する夫婦]|寝取り・寝取られ

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侵略[第三章 交錯する夫婦]

読了目安 3分06秒

[作品No 3] 2024/ 3/30(Sat)
 亜紀美の手料理をたらふく食い、出された酒をしこたま腹に収めた修造。
「あんまり幸せで呑みすぎたようだ。こんなに気持ちよく酔ったのは何年ぶりかな」
 いかにも見え透いた芝居。しかし、亜紀美は微塵も疑わない。
「今、お住まいはどちらに?」
「寂しい独り身ですからな。新宿のホテルに部屋を取っているんですよ」
「それならホテルに電話すればいいじゃありませんか。今晩は泊まって行ってくださいね」
 妻の言葉が結論になった。

「なんで泊まっていけなんて言ったんだ」
 まだ呑み足りなさそうな叔父を客間にしている和室に押し込んだ後、夫婦の閨房。私の言葉はどうしても棘を含んでしまう。
「どうして? 当然でしょう、あなたの叔父さまなんだから」
「あんなやつ、叔父貴じゃない!」
「そんなこと言うものじゃないわ。あなた、結婚する前に『俺には幸信叔父さん以外に身寄りはいない。天涯孤独のようなもんだ』って言ってたけど、あんなにご立派な叔父さまがいらしたんじゃないの」
「だから、親戚なんかじゃないって言ってるだろう! 俺は認めない、認めないぞ!」
「どうしたのよ、おかしいわ。昔、何かあったの?」
 昔……仁王立ちで私を見下ろす修造。揺らめく裸電球。呆けきった父の表情。隆々とそそり立つ巨大な逸物。蠢く母の裸身。そして……。
 病夢のごとく押し寄せるフラッシュバックを慌てて追い払う。

「……な、何もないさ。俺はただ、亜紀美との生活を誰にも邪魔されたくないだけだ」
「何よ、それ? 意味がわからない。とにかく、私は思いがけなく親戚ができて嬉しいの。じゃあ、寝ましょう」
 言うに言えないもどかしさ。狂おしい感情が込み上げ、私は思わず亜紀美を抱き寄せた。
「ちょ……ちょっと。何するの?」
「決まってるだろう。おまえとやりたいんだよ」
「何、その下品な言い方? あなた、本当におかしいわ」
 妻が他の男の欲望に晒される不安と興奮。背徳的な相克の中、その温かな肉体に埋没して所有者の印を確認したかった。
「いいから、こっちを向けって」
「いやっ、やめて。叔父さんに聞こえるかもしれないでしょう?」
「ここは俺たちの家だぞ。誰に遠慮する必要があるんだ!」
「大きな声を出さないでよ。今日のあなた、こわいわ。とてもそんな気になれない。おやすみ」
 向けられた妻の背中。届きそうで届かない。絶望的な距離感。本当に自我が崩壊しそうだった。
(なぜなんだ。どうしてやっと手に入れた俺の生活に入り込んでくる?)
 少年期に刷り込まれた怖れ。膝を抱えても震えが止まらない。
(今日だけの辛抱だ。明日からまた、穏やかな日常が戻ってくる……)

 しかし、その日は地獄の始まりに過ぎなかった。
 蟻の一穴。一度付け入る隙を与えた牙城は、じりじりと蚕食されていくしかない。
 結婚して初めて妻に拒まれたこの晩ですら、やがて訪れる深き夫婦の断層を思えば、まだ甘い追憶の範疇であったことを後の私は思い知らされることになる。

---続く---
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