禁断と背徳の体験告白
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連載作品(官能小説)

侵略[第二十一章 旅立つ二人]|寝取り・寝取られ

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侵略[第二十一章 旅立つ二人]

読了目安 2分05秒

[作品No 21] 2024/ 4/ 5(Fri)
「年明けに、新潟で親父の法事があるそうだ」
 修造が告げたのは、年の瀬も押し迫った頃だった。叔父の父、つまり、私の祖父の法要である。
 杉山の本家と修造は長らく絶縁状態にあるはずだ。いぶかしむ私に、
「時の流れは大概のことを解決してくれる。兄貴が死んで十五年。本家と分家のわだかまりは水に流して、一族の結束を強めようということだろうよ」
 杉山家の法事は親戚郎党を集め、何日間にわたり催される。参加するならば、平日も休まなければならない。会社員として微妙な時期にいる私が行けるはずはなかった。
「謙一郎は無理をせんでもいい。とはいえ、おまえも元々は嫡男の血筋だからな。素知らぬ顔というわけにもいくまい。俺と亜紀美さんで顔を出してこようと思う」

 その後の時間は瞬く間に過ぎた。
 例年のことながら年末年始は仕事に追われる。年内ギリギリまで働き、正月も三が日を自宅で過ごしただけで出社した。
「本当に謙一郎はよく働くな。勤勉なところは兄貴そっくりだ。自慢の甥っ子だよ」

 亜紀美と修造が新潟へ発つ日。朝からどんよりと曇っていた。
「今生の別れじゃあるまいし、見送りなんていらんよ」
 という叔父を押し切り、私は何とか時間をやりくりして東京駅まで見送った。
 十時十二分発、Maxとき三一七号。流線型のボディがホームへ滑り込んでくる。
「そうだ、謙一郎。帰ってきたら、おまえに話したいことがある。兄貴と……その……涼子さんのことでな」
「え……は、はい……わかりました」
 どれほどの憎しみを抱いていようと、修造本人の前では従順にならざるを得ない。なぜなら……。

「……じゃあ、あなた……元気でね……」
 亜紀美の言葉が私の思考を遮った。修造に付き添われ、車内へ入っていく。
「ああ……気をつけて……」
 別れ際に亜紀美の見せた、何かを訴えるような、哀しみに満ちた眼差しが妙に心に残った。
(もう二人は帰ってこないのではないか)
 ふと、そんな予感に襲われた。

---続く---
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