禁断と背徳の体験告白
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連載作品(官能小説)

侵略[第二章 寄生の始まり]|寝取り・寝取られ

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侵略[第二章 寄生の始まり]

読了目安 3分35秒

[作品No 2] 2024/ 3/30(Sat)
「私が日本を離れていた間に謙一郎がこんな立派になって……。私はね、それが何よりも嬉しいんですよ」
 一時間後のリビング。先刻私に見せた居丈高な態度から一変し、修造は亜紀美を相手に「情に篤い叔父」を演じていた。
「しかも、えらい別嬪の嫁さんまでもらって……。ホント、長生きはするもんですなあ」
 その目は本当に潤んでいるように見える。こうして取り入るのが、この男の手なのだ。
「長生きだなんて、まだまだお若いじゃありませんか」
 案の定、亜紀美は心を許し始めているようだ。脳裏に危険信号が灯るものの、何も言えずにいる自分。私は苛立っていた。

「ところで叔父さん、十年もの間どこにいたんですか」
「ああ……マニラにね。ちょっとした商売を始めたら軌道に乗ってしまって」
「まあ。それじゃあ、青年実業家でいらっしゃるんですね」
「嬉しいねえ。たとえお世辞でも『青年』なんて言ってもらえて。ありがとう、亜紀美さん」
 嘘に決まっている。この男にそんな才覚のあるはずがない。おおかた女衒まがいの怪しげな商いか、フィリピーナのヒモでもしていたのだろう。冴えない風貌をしていながら、昔から女には縁の深い男だった。
「じゃあ忙しいわけだ。あちらにはすぐ帰るんでしょう?」
 皮肉と牽制を込めるのが精いっぱいだった。
「じつは、ビジネスの世界は引退してきたんだよ。異国の地でがむしゃらに頑張って、十年。虚しくなったというか日本が恋しくなってねえ」
 しんみりと告げる。もちろん効果を計算してのことだ。
「矢も楯もたまらなくなって帰ってみりゃあ、友達とは連絡取れないし、親戚もずいぶん亡くなっているしで……。ようやく幸信から謙一郎の消息を聞けたってわけさ」
 幸信とは父の末弟だ。結婚式のとき、さすがに新郎側の親戚が一人もいないのでは格好がつかないと思い、招待したのだが……。
(余計なことを……。よりによって修造に俺の住処を教えるなんて……)
 とはいえ、この見てくれに似合わず凶暴な兄に凄まれては、おとなしい幸信叔父などひとたまりもなかっただろう。

「ずいぶん寂しい思いをされたんですね。可哀相な叔父さま……」
 心優しい亜紀美がほだされかけている。胸中の信号は黄色から赤へ点滅を始めた。
「さあて、あんまり引き留めても悪いからね。叔父さん、そろそろ」
「あら、はじめて訪ねてくださったんですもの。お夕食をご一緒したいわ」
 箱入り娘で育てられた麗らかさが、今は癇に障る。
「そんな厚かましい……と断るべきなんでしょうけどなあ、謙一郎と久しぶりに膝を交えて話をしたいと思ってたんですよ」
「ぜひそうしてくださいな。突然でしたので大したものは用意できませんけど、私、腕を振るいますから」
「そりゃあ、ありがたい。外で気取って食事するより、どれだけ心休まるかわかりません」
「決まりですね。それじゃあ、しばらくお酒でも召し上がってお待ちになってくださいな」
「ありがとうございます。いや、それにしても今日は暑かった。フィリピンの暑さとは違って、汗ばむ陽気。これが日本だと思い出しました」
「ごめんなさい、気がつきませんで。すぐにお風呂を沸かしますから」
 完全に修造のペースだ。亜紀美が小走りにバスルームへ消えると、
「いい嫁さんを見つけたじゃねえか。気立てはいいわ、美人だわ、身体つきもたまらんわで。なあ、謙一郎?」
 無遠慮な視線を亜紀美の後姿に這わせる。絡みつくように粘着質な物言いに、私は戦慄した。

---続く---
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