禁断と背徳の体験告白
前の画面 総合トップ 閲覧履歴
連載作品(官能小説)

侵略[第十五章 忍び寄る崩壊]|寝取り・寝取られ

お気に入りお気に入り登録済み

←前の作品  目次  次の作品→
    文字サイズ---
  • LL
  • L
  • M
侵略[第十五章 忍び寄る崩壊]

読了目安 2分25秒

[作品No 15] 2024/ 4/ 3(Wed)
 何かが変わり始めていた。

 表面的には以前どおり幸せな家庭のように思える。
『おはよう、あなた。はい、新聞』
『行ってらっしゃい。帰りは何時頃になるの?』
『お帰りなさい。お風呂先にする? 今日のお夕飯は、あなたの好きな天ぷらよ』
『おやすみなさい。明日も頑張ってね。愛してるわ』
 だが、立派な建築物が目に見えぬ礎の部分でシロアリに食い荒らされていくように、ひたひたと侵蝕されていく気配がする。
 一つ一つは取るに足らない些細なことでも、積み重なれば疑惑の証明となりうる。

 あの出張以来、亜紀美と叔父の間には一時期のようなベッタリした雰囲気がなくなった。温泉へ行く前の適度な距離感に戻った感じである。
『なあ、叔父さんと何かあったのか?』
 二人きりのときに尋ねてみる。
『……別に何もないけど……どうして?』
『いや。何となく、よそよそしくなったような気がしてね』
『もともとあなたの叔父さんで、私と血のつながりがあるわけじゃないんだもの。節度を持ったほうがいいと思い直しただけよ』
 亜紀美の言葉は真実なのだろうか。

 家の内外がどこか荒んだ雰囲気になったのも気がかりだ。
 決して極端な綺麗好きではなかった亜紀美だが、室内はそれなりに整理整頓され、掃除が行き届いていた。今では出した物が出しっぱなし、うっすらと埃が積もっている。
 昨日は、ベランダで植木が枯れていた。花をこよなく愛し、丹精込めて手入れをしていた妻だったのに……。

 微妙な変化は妻自身にも表われ出した。
 いつも気だるく疲れた風情になり、目つきが暗くなったような気がする。単にやつれたというより、鋭敏に研ぎ澄まされたという印象だ。
 さらに化粧である。アイラインやルージュの種類なのかメイクの方法なのか、男の私には何がどう違ったのかうまく表現できないのだが、雰囲気が確実に変わった。
 美しくはあるのだが、何というか全体として安っぽい女になったように思えてならない。

 かつて同じような変貌を見せた女性を私は知っていた。
(……母さん……)
 父の死後、義弟の女となり、その歓心を得るためだけに生きるようになった母・涼子。
 妻が当時の彼女と似てきたということが何を意味するのか。ある方向へ凝固しようとする思考を、自衛本能が妨げていた。

---続く---
スポンサー広告