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「お似合いですよ、会長」
やがて接吻を終えた犬山は、妻の背中をなでながら甘ったるい声で話し掛けます。
「それじゃあお望みどおり、浣腸責めにかけてあげますよ」
「……お願いしますわ、犬山さん」
妻は長い睫毛で縁取られた瞳をうっとりと閉じ、今度は自分から積極的に犬山の唇を求めていきました。
妻は再び拘束椅子に裸身を固定され、両足を高々と吊られたポーズをとらされています。椅子と妻の尻の間にはクッションが置かれ、妻の肛門はまっすぐCCDカメラに向けられ、ディスプレイにはっきりと映し出されています。
その上部には木通の実のように開いた妻の女陰が、そして先程まで糸に吊られて、いまだに充血を見せているクリトリスがはっきりとその姿を見せています。それら女としての極限の羞恥の箇所の上に妻のうっとりと目を閉じた顔が並んでいる様子は、何かオブジェのように見えます。
いよいよ浣腸責めにかけられることになった妻の表情はさすがに緊張の色を隠せません。先ほどの犬山とのやり取りから、妻が役員会で浣腸責めにかけられるのは初めてのことではないようですが、妻にとって浣腸責めは苦痛と屈辱以外の何物でもなかったのでしょう。
しかし、繊細なクリトリスを8時間も吊られつづけるよりは、一時の苦痛と屈辱に耐えた方がましだと考えたのでしょうか。そんな妻の悲痛な覚悟が硬化した表情から伺えます。
「ところで奥さん、浣腸責めにかける前にひとつやっておきたいことがあります」
これ以上いったい何をするつもりなのか。突然の犬山の言葉に、妻は不安そうな表情を見せます。
「奥さんはさっき、私の妾になりたい、このホテルの部屋でずっと暮らさせて欲しい、といいましたね。あれは本心ですか?」
「はい……もちろん本心ですわ」
「それなら奥さんが着てきた服、これももう要らないということですね?」
犬山はクロゼットの中から脱衣籠を取り出してきます。その中には妻の外出用のクリーム色のワンピース、上下お揃いの白いブラジャー、パンティ、そしてストッキングなどが入っていました。
「あ……それは……」
妻は慌てたような表情になります。
「どうなんですか? さっきのは本心ではないんですか?」
「で、でも……それがないと、絵梨子……ずっと裸で暮らさなきゃいけなくなります……」
「それでも構わないじゃないですか」
「そんな……困ります。お、おかしな女だと思われますわ」
「このホテルは私の持ち物です。部屋の掃除や奥さんの食事の世話をする従業員には事情を良く言い聞かせておくから大丈夫ですよ」
「だって、明日の……道岡先生のクリニックは……」
「素っ裸のまま車に乗せていってあげます」
妻は目を丸くします。
「そんな……ひどいわ……今度の慰安旅行はどうするのですか……」
「それも素っ裸ですよ。なに、旅行といっても奥さんは最初から最後まで素っ裸のままでなんら問題ありません。コンパニオンと一緒にお酌をするか、我々と混浴する以外はセックス三昧です。服なんて必要ありませんよ。宿の人間にはよく言い含めておきますよ」
「ああ……ひどい……そんなことって……」
妻は拘束椅子の上で身悶えします。なよなよと裸身を悶えさせるその姿は困惑、苦悩といったものだけでなく、露出の快感に対する期待のようなものまで感じさせます。私は一昨日「ホテル十番館」の前で見た長尾たちとの妻の露出プレイの様子を思い出していました。
おそらく妻は、犬山に色仕掛けで妾になると迫りながら油断を誘い、いざとなればホテルからいつでも逃げられるような方法を確保しようとしたのでしょう。しかし、着るものを全て奪われてしまえばそれも難しくなります。
そんな妻の企みは犬山からあっさりと見抜かれていたのです。妻は自らにあえて淫らな心を駆り立てて犬山を篭絡しようとしたのですが、海千山千の犬山の敵ではありませんでした。むしろそんな浅墓ともいえる手管を、犬山から逆に責めの手段として利用されてしまったのです。
「どうなんですか? やっぱり妾になるのはやめて温泉に売られたほうが良いんですか」
「嫌……それは嫌……お、お願い……売らないで……」
妻はさすがに温泉に売られて、子供とも二度と会えなくなるのは耐え難いのか、嫌、嫌と首を左右に振ります。その顔には気のせいかまるで現在の切羽詰まった状況を楽しむかのような、恍惚とした色が浮かんでいるのです。
「それならもう、服は要りませんね?」
「はい……」
妻は頬を染めながら小さな声で答えました。
---続く---