禁断と背徳の体験告白
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連載作品(官能小説)

役員会[第41話]|SM・調教・性奴隷

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役員会[第41話]

読了目安 4分03秒

[作品No 41] 2023/ 9/ 3(Sun)
浩樹は食事を終えて部屋に戻ったようです。私は風呂に入るとダイニングに向かいました。妻は食事を取らずに私をずっと待っていました。

「待っていたのか? 先に食べれば良かったのに」
「あなたと一緒に食べたかったから」

そんな妻の言葉も私は素直に聞けません。すべてが自分の裏切りをごまかすためのように思えるのです。

妻は私の好物を何品か作り足したようです。しかし、これが妻と一緒に取る最後の食事になるかもしれないと思うと、味も良く分かりません。

「ごちそうさま」

妻とほとんど言葉を交わさないまま食事を終えた私は、箸を置いた妻の目を見て話し出しました。

「絵梨子、話がある」

妻の顔に緊張が走ります。私は席を立つと部屋から茶色い封筒を持って来て、妻に渡します。妻は脅えたような表情で私を見ます。

「中を見ろ」

妻は封筒を開けて中の写真を取り出します。妻の指先が小刻みに震えているのが分かります。写真を確認した妻の顔が愕然となりました。

「どうして……」

妻の唇が震えています。私は何も言わずに妻の瞳をじっと眺めていました。妻が耐えられなくなったように目を伏せます。

「ごめんなさい……」

妻の目から涙が零れ落ち、プリントされたばかりの写真を濡らしていきます。涙はテーブルの上にまで滴り落ちました。

「何か他にいうことはないのか?」

妻はしきりに首を左右に振っています。しばらく私たちは無言のまま向かい合っていましたが、今度は私の方が沈黙に耐えられなくなり、立ち上がりました。

「あ……」

妻が顔を上げて、何か言いたげに口を動かしました。妻の瞳は涙で濡れています。扉を閉じると、背後に妻のすすり泣く声が聞こえてきました。私はその声を振り切るように寝室へ向かいました。

ベッドに横たわった私は妻が口走った「どうして」という言葉について考えていました。

「どうして……気づいたのか」
「どうして……責めないのか」

妻は何を言いたかったのでしょう。

私はどうして妻の不倫に気づいたのか、また手渡した写真は私が撮影したものかどうかすら話しませんでした。妻は今頃不安に苛まれているでしょうか。

現在犬山達にどんな目にあっているにせよ、長尾との不倫は妻の私に対する裏切りです。「ホテル十番館」の前で妻と長尾の痴態を目撃したショックを思えば、妻が不安に苛まれようが自業自得といえます。

しかし、私は妻の涙が頭から離れませんでした。

結婚当時、私しか頼るものがいなかった妻。妻を決して泣かせないというのが私の信念でした。今日、妻が滂沱の涙を流すのを見た私はなんともいえぬ後味の悪さを感じたのです。

犬山達に凌辱されるのも確かに腹立たしいことですが、それはいずれ彼らにまとめて復讐すればよいことです。長尾に対する報復も同時に行えばよいでしょう。私はこれ以上妻から、妻自身の意志で裏切られる辛さに耐えることは出来ませんでした。

(しかし、これで妻はもう二度と長尾に会うことはないだろう……)

犬山達との問題は何一つ解決していません。しかし、私は今日、妻と長尾の不倫を潰したことで妙に安心してしまい、いつの間にか眠りに落ちていきました。

翌朝目覚めると、隣のベッドに妻の姿はありませんでした。朝食の支度をしているのかとキッチンを覗きましたが、そこにもいません。私はダイニングテーブルの上に一枚のメモが置かれているのを見つけました。

(ごめんなさい 絵梨子)

家の中、マンションの外、私は必死で探しましたが、妻の姿はどこにも見つかりませんでした。

私は昨日妻が「どうして……」と言った後の妻の唇の震えを思い出していました。私はその唇の形が、ある言葉を示しているのだということに思い至りました。

(どうして……助けてくれなかったの)

---続く---
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