禁断と背徳の体験告白
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連載作品(官能小説)

セックスレス[第一章 飛び出して来た娘]|近親相姦・近親相愛

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セックスレス[第一章 飛び出して来た娘]

読了目安 22分57秒

[作品No 1] 2022/ 3/16(Wed)
「何だ、しけた顔して」
 久しぶりに訪ねて来た娘の麻衣子を父親の晴彦が名前の通りの晴れやかな笑顔で出迎えた。もう何年も前に麻衣子の母親と別れて気儘な独り暮らしをしている晴彦。とても五十に手が届く歳には見えない。
「また旦那と喧嘩して来たか?」
 勘の鋭い晴彦の言葉はいつも図星だった。
「また、は余計でしょ!」
 麻衣子がほっぺたを膨らませた。
「ま、上がれ」
 晴彦のワンルームはいつものように散らかり放題だった。仕事の途中なのか、書き掛けの譜面が床一面を覆っている。
「やだなあ、足の踏み場が無いじゃない」
 そう言いながら、麻衣子が譜面を踏まないように、フローリングが見えている場所を選んでソファーまで辿り着いた。
「すまん、今、片付けるから」
 慌てて床から譜面を拾い上げた晴彦は、その殆どをゴミ箱にねじ込んだ。どこがどう違うのか、麻衣子にはさっぱり分からなかったが、晴彦がその内の何枚かをまとめてパソコンの横に置いた。
「さて、コーヒーでも入れてくれないか」
「ううん。パパが入れて。その方が美味しいから」
「じゃ、お湯沸かしてくれ」
 晴彦がパソコンの操作をして音楽のプログラムを終わらせた。その途端、下に隠れていた画像が画面一杯に広がった。
「やだ、パパったら」
 後から覗き込んだ麻衣子が顔をしかめた。それはインターネットから収集したらしいヌード写真。それも後から撮ったどアップの写真だった。
「おっといけない」
 悪びれた様子もなく晴彦がその画像を消した。
「こう言うのも、セクハラになるのよ」
 麻衣子が苦笑しながら言った。
「わざと見せればな」
「パパって、昔からこう言うの好きみたいね」
「嫌いな男はいないよ。どんな奴だってこっそり見てる。まあ、中には堅物もいるんだろうけど、少なくともパパはそうじゃない」
「あんなの見て、自分でやったりするの?」
「まさか。中学生や高校生じゃあるまいし」
 お湯が沸いたので、晴彦が立ち上がってコーヒーの用意を始めた。
「でも、パパって不思議よね」
「何が?」
「だって、さっきみたいな写真見てても、全然嫌らしくないんだもの」
「そりゃあ麻衣子だからそう感じるだけだよ。その辺の女連れて来て、あれ見せた日にゃ大変だ」
「うーん、どうかな?」
 部屋の中にコーヒーのいい匂いが漂い始めた。
「さっ、どうぞ。お嬢様」
「もうお嬢様じゃないわよ」
「そうだったな。じゃ、奥様どうぞ」
 麻衣子の気持ちがあっと言う間に解れて行った。そう、このために父親を訪ねて来たようなものである。
「さて、奥様。愚痴をお聞きしましょうか?」
 晴彦も自分のカップにコーヒーを注いで麻衣子の前に座った。
「ううん、もういいの。パパの顔見たら、何かどうでもよくなっちゃった」
「この前もそんなこと言って帰ったな」
「そう言えばそうね」
 麻衣子が可笑しそうに笑った。
 その晩は麻衣子が食事の用意をした。晴彦は八時からライブがあるので早めの夕食だった。
「ねえ、私も連れてって」
 後片付けを済ませた麻衣子が楽器の用意を始めた晴彦にせがんだ。
「俺は構わないけど、健介くんは放っておいていいのか?」
「うん。今日はパパの所に泊まるって言ってあるし」
「何だよ、勝手に決めて。ライブの後は案外チャンスなんだぞ。麻衣子がいちゃ連れ込めない」
「またまたあ、見栄張って」
「そうでもないぞ。先週だって・・・・・・」
 言いかけた晴彦が照れたようにそっぽを向いた。
「ま、今晩は諦めるか」
「パパったら!」
 麻衣子が露骨に嫌な顔をした。
 ライブは案外盛況だった。晴彦の本職は曲のアレンジとたまに入る作曲だが、時々こうして半分趣味のサックスを吹いている。若い頃はレコード大賞を取った歌手のバックバンドでプロ活動もしていたが、最近はスタジオの仕事も受けなくなっていた。感覚自体は決して古びてはいないのだが、自分で書いた譜面が吹けない、と言うのがその理由だった。
「まだまだ大丈夫じゃない」
 ライブがはねたところで麻衣子がステージに上がって来た。
「いや、若い奴らには適わないさ。それより、腹減ってないか」
「うん。ペコペコ」
「じゃあ、美味いラーメンでも食いに行くか?」
 晴彦の好みは江戸前のサッパリしたラーメンだった。近頃流行のトンコツ系はどうしても口に合わない。昔ながらの支那そばを食べさせる店を見付けてある。
 ところが、店の前まで行ってみると生憎臨時休業だった。仕方なく手近なレストランを見付けて簡単に食事を済ませた。家に戻ったのは最終ギリギリで午前一時を回っていた。
「おい、風呂、先に入っていいぞ」
 クローゼットの奥に楽器を仕舞った晴彦が、もう一度台所でコーヒーを立て始める。晴彦は無類のコーヒー好きで、寝る前だろうとお構いなしにがぶ飲みしていた。
「ねえパパ」
「何だ?」
「今日はお目当ての人、いたの?」
 麻衣子が悪戯っぽい声で聞いた。
「いや、今夜は大していい女、いなかった」
「私の前に座ってた人、何か、パパばっかり見てたわよ」
「麻衣子の前って、どんな女だ?」
「髪が長くて、水色のワンピース着てた人」
「四十絡みだったか?」
「もうちょっと若いんじゃない?」
「ああ、多分朱美だな」
「何だ、もう手付けてたの?」
「馬鹿、ありゃあドラムのカミさんだ」
「ふうん」
「何だ、その、ふうんってのは?」
「何か変な雰囲気だったけどなあ」
 一瞬晴彦がドキッとした表情をした。幸い麻衣子に背中を向けていたが、手元が狂ってコーヒーに注ぐ湯が暴れてしまった。朱美とはかつて晴彦がまだ離婚する前にいわゆる不倫の関係にあった。その後、朱美は晴彦とはバンド仲間のドラマー、近野と一緒になったが、最近また晴彦に色目を使うようになっている。噂では夫婦仲が上手く行っていないらしい。
「下らないこと言ってないで、風呂入っちまえ」
 そう言って晴彦がコーヒーを持って振り返った。
「おい!」
 晴彦が危うくコーヒーをこぼしそうになった。麻衣子が全てを脱ぎ捨てて白い体を見せていた。
「お前なあ、前くらい隠せよ」
 苦笑いした晴彦がコーヒーカップを二つテーブルに置いた。
「どう、久しぶりに見た娘の体は?」
「ちょっと腰の辺りにお肉がついたんじゃないか?兎に角、風呂に入っちまえ」
「久しぶりに、一緒に入らない?」
「うちの風呂は狭いんだ。定員一名だよ」
 麻衣子がケラケラ笑いながら風呂場に入って行った。ワンルームの小さなバストイレなので部屋で脱ぐしかないのである。
 麻衣子は高校生になっても晴彦と一緒に風呂に入っていた。麻衣子の方が入りたがったのである。女房と別れて麻衣子と二人暮らしになってからは流石に晴彦の方が敬遠するようになった。それでも、強引に入って来ることがしばしばだった。
 麻衣子が結婚してもう三年。二十三になった娘の体はドキッとするほど大人びていた。女盛りを迎えた娘の体からは溢れんばかりの女の匂いが漂っている。
「パパァ」
 風呂場の中から麻衣子が呼んだ。
「何だ?」
「シャンプー、無いの?」
「その辺にあるだろう」
「これ、空っぽ」
「そうだったか」
「髪、毎日洗ってないの?」
「そうだな、三日おきってとこかな」
「駄目よ、そんなんじゃ。最近少し薄くなって来てるじゃない」
 麻衣子がドアを開けて顔を出した。
「そんなことだろうと思って、携帯用のセット持って来てるの。そこのバッグ取って」
「これか?」
 晴彦がテーブルの上から大きめのハンドバッグを取って渡した。
「ねえ、いつ髪洗ったの?」
「そうだな、一昨日かな」
「やだあ、今日洗わなきゃ駄目よ。さっ、脱いで入ってらっしゃい」
「いいよ、自分で洗うから」
「駄目。私がきれいに洗って上げる。さっ、脱いだ、脱いだ」
 晴彦が苦笑しながら服を脱ぎ始めた。この辺の呼吸は父親譲りで有無を言わせないところがある。娘の前で気にするのも変なので、晴彦は下着も脱ぎ捨ててドアに近付いた。
「お前なあ、前くらい隠せよ」
 麻衣子が晴彦の声色を真似て言った。思わず晴彦が吹き出した。
「違いない。タオル、取ってくれ」
「もう遅いわよ。しっかり見ちゃったから。さ、入って」
 照れ臭そうに浴室に入った晴彦を椅子に座らせ、自分が持って来たシャンプーを髪に振り掛けた。
「このシャンプー、天然素材で、有害なもの入ってないんだって。これ使うといいわよ」
 後に回った麻衣子が晴彦の頭を両手の指先で擦り始めた。時々背中に乳首が当たる。その感触にあやうく晴彦の前が反応しそうになった。
「シャンプーなんて、みんな同じだろう」
 慌てて晴彦が意識を逸らせた。
「ううん、全然違うのよ。パパ、ちょっとてっぺん薄いわよ」
 そう言って麻衣子が前に回って来た。一旦泡を流してから、もう一度シャンプーを振り掛けた。
「そう何度も洗わなくていいだろう?」
「駄目。こんだけ汚れてたら最低二回」
 晴彦の目の前に麻衣子の白いお腹が迫っていた。薄目のヘアーは母親似。その辺がこんもり盛り上がっている姿もそっくりだった。
「痒いとこ、ある?」
 麻衣子が聞いた。
「いや、いい気持ちだ」
「じゃ、流してからリンスするね」
「はいはい」
 頭からシャワーを掛けられて晴彦が目をつぶった。一旦タオルで簡単に髪を拭いた麻衣子がリンスを手の平にのばしてから髪の毛に擦り込んだ。
「リンスはこのままにしとくの。さ、今度は体」
 垢擦りタオルに石鹸をつけた麻衣子が晴彦の首筋から流し始めた。背中を擦られると晴彦が背筋を伸ばした。
「いい気持ちだ」
 それには答えず、麻衣子が腕から胸へと垢擦りを動かして行く。その度に晴彦の目の前で麻衣子の胸が揺れた。
「はい、立って」
 腰から下を流して行く麻衣子の目の前で晴彦のものが揺れていた。それは半ば固さを増し、僅かに上を向き始めている。爪先まで洗い終えた麻衣子が垢擦りを置くと手の平に石鹸を塗りたくった。
「こっち向いて」
 次の瞬間、麻衣子の手がしっかりと晴彦の前を握りしめた。
「おい、そこはいい」
「遠慮しないで」
 晴彦は既に完全な状態になっていた。固くなった先端を麻衣子の指が丹念に擦り続ける。
「も、もういい」
 堪りかねた晴彦が麻衣子の肩を掴んだ。その柔らかな感触に、握られたものが一際強く跳ねた。
「はい、お仕舞い。リンス流すわよ」
 再び頭からシャワーを掛けられ、晴彦がしっかり目をつぶる。体の泡を流し終えた麻衣子がもう一度前を擦った。
「サンキュー、気持ち良かったよ」
 晴彦が慌てたように湯船に飛び込んだ。いきり立ったものを少しでも早く鎮めたいと思ったのである。
「どこが?」
 麻衣子が悪戯っぽく聞いた。
「えっ?」
「どこが気持ち良かったの?」
「馬鹿」
 自分の体を洗い始めた麻衣子を晴彦が見詰めた。娘時代はどちらかと言えば細身だった麻衣子だが、結婚して少し丸みが増したように見える。さほど大きくない胸も幾分柔らかい輪郭に変わっていた。
「ねえ、パパ」
 麻衣子が足を洗いながら聞いた。
「何だ?」
 振り向いた晴彦の前で麻衣子が片膝立てている。慌てて晴彦が目を逸らせた。
「男の人って、ずっとしないでもいられるの?」
「しないでって、あれの話か?」
「うん」
「まあ、相手がいなけりゃ、仕方ないさ」
「そんな時はどうするの。風俗行ったりするの?」
「俺は駄目だな。風俗は一度も行ったこと無い」
「じゃあ、自分でする訳だ」
「たまにゃ、そう言うこともあるけど。何でそんなこと聞くんだ?」
「最近、全然無いのよ」
「無いって、健介くんとか?」
「当たり前でしょ。よそでなんかしないわよ」
「無いって、どのくらい無いんだ?」
「最後にしたの、去年の夏くらいかなあ」
「何だ、もう一年も前じゃないか!」
「うん」
「お前達、一緒になって何年だっけ?」
「来月で丸三年」
「それまでは?」
「結婚した後が週一くらい。去年は月一、ううん、三ヶ月に一度くらいかなあ」
「ふうん、結構少ないな」
「パパもそう思う?」
「うん」
「パパはどのくらいだったの?」
「三年目だと月一か、二くらいだったかな?」
 麻衣子が体を流して湯船に入って来た。前を隠していないので、割れた肌が晴彦の目の前を通り過ぎた。
「やっぱり、そんなもんなのねえ、夫婦って」
「何だ、月一や二じゃ足りないか?」
「うん。せめて週一回くらいは欲しいな」
 麻衣子が口をつぐんだ。何となく重苦しい空気が流れていった。
「私さあ、いっそのこと浮気しちゃおうかって思ったの。でも、いざとなると出来ないもんね」
「そんな相手、いたのか?」
「うん。半分はその気になったんだけど、やっぱり駄目だった。何のかんの言っても、健介さんのことが好きなのよ。だから、他の男に抱かれるって、やっぱり抵抗あるんだなあ」
 麻衣子が両手で胸を持ち上げた。
「私の体って魅力無い?」
 娘のそんな仕草に晴彦が困ったような顔をした。
「いや、眩しい位だよ。これが娘でなければ・・・・・・」
「娘でなければ?」
 麻衣子がジッと晴彦の目を覗き込んだ。
「馬鹿、そんな目で見るな」
 慌てた晴彦が急いで湯から上がった。前が大きく跳ね上がっていた。それを見た麻衣子がニッコリ笑った。
「私も満更じゃないってことかな?」
「馬鹿野郎」
 晴彦が浴室から出ていった。残された麻衣子がホッとため息をついた。
 麻衣子が風呂から出ると晴彦がソファーに寝る支度をしていた。
「駄目。今晩はパパと一緒に寝るの」
 麻衣子がそう言って晴彦の手を止めた。
「馬鹿言うな。おれはこっちで寝るから、麻衣子はベッドで寝なさい」
「嫌。久しぶりに、パパの胸で寝るために来たの」
 晴彦が眉に皺を寄せた。
「変なことしないか?」
「大丈夫。いい子にしてるから」
「仕方ない奴だ」
 晴彦がしぶしぶソファーの寝仕度を片付けた。麻衣子が大きな声で笑った。
「何だ?」
 晴彦が怪訝そうな顔で振り返る。
「だって、普通は女の方が言う台詞をパパが言うんだもん」
 晴彦も吹き出した。
「違いない」
「パパ、明日の予定は?」
「別に。いつもと一緒だ」
「じゃあ、少しくらい朝寝坊してもいいわね?」
 晴彦が心配そうな顔付きになった。
「ううん、大丈夫よ。ただ、パパに話を聞いて貰いたいだけ」
「そうか」
 それでも晴彦は落ち着かない様子だった。
「何か飲むか?」
「そうだなあ、ビールがいいかな。それともワイン?」
「チーズがあるから、ワインにするか」
「チーズって、何?」
「生憎ブリーは食ってしまったから、グリエールとロックフォールがある」
「ブルーはちょっとパスだなあ」
「分かった。じゃ、グリエールを薄く切ってやろう」
 晴彦が冷蔵庫からグリエールの塊を取り出し、専用のスライサーで薄く削ぎ始めた。
「ワインは戸棚に寝てるから、持ってきて抜いてくれ。赤でいいな?」
「うん」
 晴彦がテレビを点けた。ちょうどニュースの時間だった。暫く二人は何も喋らず、チーズとワインを交互に口に運んでいた。
「さて、寝るか?」
 晴彦がテレビを消した。それ程大きなニュースは無いようだった。
「うん」
 晴彦は普段かなり夜更かしである。いつも三時四時に寝ることを麻衣子はよく知っている。その晴彦が早めに寝ようと言うのは、その方が話しやすいだろうと言う配慮だなと思った。
 ワイングラスとチーズの皿を流しに出した晴彦が電気を消してベッドに腰掛けた。白いタオル地のガウンを脱ぎ、下着一枚になってタオルケットに潜り込む。続いて麻衣子もガウンを脱いで晴彦の横に滑り込んで来た。ガウンの下は素肌だった。
「おい、何か着て来い」
「いいの。いつも寝るときは裸なんだから」
「モンローみたいなこと言うな」
「モンローはシャネルの五番でしょ?私は何も無し」
 晴彦の腕に麻衣子の柔らかい肌が密着して来た。
「だっこして」
 麻衣子がそう言って体を浮かせた。腕を回せと晴彦に促している。仕方なく娘の肩に手を回すと麻衣子が全身を預けて来た。
「こうしてると落ち着くの」
 そう言って麻衣子が晴彦の胸に顔を埋めた。
「俺の方は落ち着かないよ」
「大丈夫。寝るまでには落ち着くから」
 晴彦は自分の腿を挟み込んだ娘の肌が気になって仕方がない。女の部分が当たり、ヌメヌメと濡れた感じさえ伝わって来る。
「何ヶ月振り?」
 麻衣子が晴彦の目を見上げて聞いた。
「何の話だ?」
「こうやって、女抱いたの」
「抱く、の意味が違うだろう?」
「でも、悪い気はしないでしょ?」
 そう言って麻衣子が更に強く体を擦り付けて来た。
「ねえ、大きくなってる」
 麻衣子が悪戯っぽい声で聞いた。
「そんなはず無いだろう」
「本当?確かめてもいい?」
「馬鹿、よせ」
 実際、晴彦は少しだけ前が固くなり掛かっていた。いくら娘と言っても生身の体。それも素肌がピッタリ自分に張り付いているのだから仕方がない。
「ところで、麻衣子。何で俺んとこに来たんだ?」
「さあ、自分でもよく分からない。ただ、こうして誰かにしっかり抱き締めて貰いたかっただけ」
「それが俺か?」
「うん。だって、パパ以外にいる?」
「健介くんだろう、お前を抱き締めるのは」
「その旦那が抱いてくれないから、悩んでるんじゃない」
「うーん」
 晴彦が言葉に詰まった。
「お前達、寝室も別なのか?」
「うん」
 麻衣子が晴彦の上にのし掛かって来た。
「ねえ、パパ」
「何だ?」
 晴彦が麻衣子の体を下ろそうとして腰を掴み、その柔らかさに慌てて手を離した。
「もし私が迫ったら、どうする?」
「はり倒すかな」
「パパならやりかねないね」
「分かってるんなら下りろ」
「ううん。何にもしないから」
 晴彦は麻衣子の体重を心地よく感じている自分に狼狽していた。二人の間に挟まっているものが、既にかなりの固さになっている。麻衣子がそれに気付かぬはずが無い。
「ねえパパ。旦那が抱いてくれないとしたら、私、どうしたらいいと思う?」
「うーん、難しい質問だな。自分の娘じゃなけりゃ、こっそり浮気でもすればって言うかも知れない」
「でしょ」
「でも、全く駄目なのか?」
「うん」
「お前の方から誘ってもか?」
「疲れてるとか、明日早いからとか、いつも適当に逃げられちゃって。その内、私の方も言うの疲れちゃったし」
「ベッドに潜り込んで、握ってやったらどうだ?」
「こう?」
 そう言って麻衣子が体の間に手を差し込んで来た。
「おい、よせ」
 晴彦は下着の上からしっかり握られて狼狽した。
「ね、パパだって駄目じゃない」
「俺はお前の旦那じゃない。父親だ」
「でも、男でしょ?」
「いいから離しなさい」
「嫌。こうして握ってるだけだから、いいでしょ?」
 麻衣子が手を動かす度に晴彦の体が反応した。娘の手は思いの外柔らかく、男の体を心得た動きに晴彦の気持ちがぐらつき始めた。
「ねえ、真面目に考えてよ」
「何を?」
「私がどうしたらいいかってこと」
「ああ、それか」
 麻衣子の手の動きで晴彦は大分上の空になっていた。
「気分を変えて、二人で温泉にでも行ったらどうだ?」
「それもやってみた。一緒にお風呂にも入ったし、久しぶりに一緒の布団にも寝たわ。それでも何もしないで寝られちゃった」
「うーん、かなり重症だな」
「でしょう?」
 麻衣子が顔を晴彦の胸に擦り付けた。暫くすると背中が小刻みに震え始めた。
「泣くな」
 晴彦の胸を暖かいものが流れ落ちて行った。
「ごめんなさい」
 麻衣子が顔を上げずに鼻をすすり上げた。
「私ね、離婚も考えたの。確かに健介さんは優しいし、人間としては申し分ないわ。これからもずっと一緒に暮らして行く相手としては最高だと思う。でも、これっきり、もう抱かれることが無いのかなって思ったら、急に胸が苦しくなっちゃった」
「うん。分からなくもないな」
「それで、私、こんなんが続いたら浮気しちゃうよ、って彼に言ったの。そしたら、俺に分からないところでしてくれって。それ聞いたら、どうにも我慢が出来なくなって、家飛び出して来ちゃったの」
「おいおい、黙って出て来たのか?」
「ううん、後から電話したよ。今日は帰りたくないから、パパのとこに泊まるって」
「そうか」
 晴彦がため息をついた。程度の差こそあれ、自分たち夫婦と似たような状況に麻衣子は置かれているようである。晴彦の場合は正反対だった。いつの頃からか、妻の早苗が夜の交わりを敬遠し始めたのである。
 疲れてるから。明日朝が早いから。全く同じ言葉が早苗の口から出るようになった。晴彦が冗談に「浮気するぞ」と言ったら、早苗の返事は「どうぞ御勝手に」だった。
「健介くんはママみたいな女と一緒になればよかったな」
 晴彦がしみじみと言った。
「えっ、パパ達の離婚も?」
「ああ。立場は全く逆だがな」
「ふうん、パパが迫って、ママが嫌がったんだ」
「結果的にはそう言うことだ」
「それ、いつ頃の話?」
「離婚する五年前くらいからだよ」
「じゃあ、私がまだ小学校に上がる前の話ね?」
「そうだな。そんな時分だ」
「人生って、うまく行かないもんね。私はパパの血を引いちゃったのかなあ」
「かも知れない」
「ところで、パパがママと別れて、もう十年以上よね?」
「十三年、いや四年かな」
「その間、再婚しようなんて人、現れなかったの?」
「何人か付き合ったけど、そんな状況じゃ無かった」
「もしかして、不倫?」
「それもあった」
 麻衣子が顔を上げた。
「ねっ、その不倫の話、聞かせて」
「何だよ、いきなり」
「ねっ、興味があるの。パパは別れた後だから、不倫ってことは相手の人が亭主持ちってことでしょ?私と同じだから、どう言う感じなのか知りたい」
「おいおい、参考にしようなんて言うじゃないだろうな」
「うふ。半分くらいは」
「しょうのない奴だ」
「ねっ、どんな人だったの」
 晴彦は少し考えてからボソボソと話し始めた。

---続く---
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