禁断と背徳の体験告白
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官能小説

父の遺品|近親相姦・近親相愛

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父の遺品

読了目安 10分51秒

[作品No 34] 2022/ 1/20(Thu)
 もう随分前から和子は一言も口を聞いていなかった。息子の紀久夫もなるべく母親と目を合わさないよう気を遣いながら黙々と片付けを続けている。
(こんなことなら紀久夫に頼むんじゃなかったわ)
 和子が小さくため息をついた。
 二人は紀久夫の夏休みを利用して和子の実家に来ている。先月和子の父親が病死したので遺品の整理に来たのである。和子がこの家を相続するので取り敢えず何があるかを調べる必要があった。
 亡くなった和子の父、紀久夫の祖父に当たる謙吉は骨董や古道具を集めるのが唯一の趣味だった。それらの遺品が土蔵に詰まっている。この地方で小さな医院を営んでいた謙吉は収入の殆どを骨董の収集に注ぎ込んでいた。和子は母親からそう聞かされていた。その母も二年前に墓に入っている。
 息子の紀久夫は今年高校一年生。どうせ暇なんでしょ、と和子が頼んで一緒に連れてきた。家具や壷と言った大物はすぐに調べがついた。とは言っても素人の和子や高校生になったばかりの紀久夫にはどの程度の価値があるものなのか、皆目見当が付かなかった。
 三日目、奥に積み上げられた葛籠を開けた時から二人の気まずい時間が始まった。最初の葛籠から出てきたのはいわゆる春画の数々。次の葛籠からは枕本と呼ばれる当時のポルノが山のように出てきた。最初の春画を開いた紀久夫が息を飲んだ。何、と覗き込んだ和子もその場で凍り付いた。その絵には明らかに息子と思われる十歳くらいの男の子を抱き寄せた母親の生々しい姿が赤裸々に描かれていた。特に股間が誇張され、その部分だけが不自然なほどに大きく描かれている。父親が娘に迫っているものも出てきた。墓場で坊主に犯される後家、大旦那が女中に手を出しているもの、その他ありとあらゆる春画がきちんと油紙に包まれていた。
(もういいわ)
 和子は何度そう言おうと思ったことか。少なくとも高校生の息子と二人きりで一枚一枚確かめるような代物ではないのだが、そうは言っても中身も改めずに捨ててしまうことは出来ない。仕方なく全てを確かめ、中身をメモした紙を葛籠に貼り付けてから横に動かした。
 枕本の次に葛籠から出てきたのは淫具の数々。その殆どが張り形、つまり男のシンボルを型取ったもので、正面から見ただけでは観音様や人形にしか見えない。しかし、一旦裏返して見ると血管まで浮き出たリアルな姿が和子の頭をクラクラさせた。何のためか分からないが根元に紐が付けられている物も多かった。珊瑚で出来たビー玉くらいの丸い玉も出てきた。張り形と一緒に仕舞われていたのだからやはり淫具なのだろうが、どう言う使い方をするかまでは分からなかった。
 その日の夕方、和子は父親が生前最後まで使っていた机の中を改めた。出て来たのは収集した骨董の目録だった。所々に墨で×印が付けられているのは売り払ったか手放したものなのだろう。これで調べが楽になったと喜んだ和子が引き出しの底に別のノートが隠されているの見付けた。開いてみると父親の筆跡ではない。どうやら死んだ母親のものらしかった。
 簡単に夕食を済ませ、先に風呂に入った和子が寝床にさっきのノートを持ち込んだ。母親が日記を付けていたなんて知らなかった。どんなことが書かれているのか興味があった。その日記は今から四十年前、和子が生まれる二年前から始まっていた。
「三月九日、長男信孝誕生。体重二千九百三十グラム。五体満足。髪の毛やや薄い」
 最初の一行を読んで和子が思わず微笑んだ。兄、信孝の誕生を機に母親が日記を付け始めたのである。日記によると信孝は結構大きくなるまでおねしょの癖が抜けなかったらしい。小学校入学の日にも「信孝、またおねしょ」と書かれていた。次のページへ読み進んだ和子の目が点になった。「信孝、立つ。指で」と書かれていたのである。まさか、とは思ったが、母親は兄のものを指で触って上げたらしい。「今日は二度」とか「三度立て続け」等の記述も見られた。
 この指での戯れは信孝が小学校三年になるまで続いていた。最後の頃はわざとおしっこを漏らして母親におしめを替えさせていたようである。母親もそれを承知していたのだろうが、何も言わずに息子の可愛いものを揉んで上げていたらしい。それも、たた揉むだけでなく、きちんと皮を剥いて上げたと日記には記されていた。
 信孝が小学校三年の暮れ、母親の日記にはただ一行、「信孝精通、味無し」と書かれていた。どうやらこの頃、母親は兄のものを口に含んでいたらしい。
「呆れた。兄さんが小学校三年だったら、私も小学校に上がった年よね。確か一緒の部屋で寝てたはずだけどなぁ」
 和子が思わず独り言を言った。
「何?」
 横で寝ている紀久夫が和子の方に顔を向けた。その紀久夫も何か古そうな本を一冊寝床に持ち込んでいる。恐らく出てきた枕本の一冊だろう。筆で書かれた文字は読めなくても随所にどぎつい挿絵が描かれていた。
「ううん、何でもないの」
 息子に話し掛けられた和子の身体が思わず熱くなった。母親と兄、それが自分自身と紀久夫にダブっていた。
「もう寝る?」
 和子が自分に言い聞かせるように言った。
「ううん、もうちょっと」
 紀久夫がまた本に目を戻した。横目でチラッと見ると「淫母狂乱」の四文字が目に入る。どうやら紀久夫は母子相姦ものを選んで持って来たらしい。物こそ違え、和子自身も母と兄の赤裸々な日記を読んでいる。しかもこちらは実話である。和子は電気を消すのがちょっと恐いような気分になって来た。
 もう一度日記に目を戻すと、精通の日以降おねしょの記述は無くなっていた。具体的なことは何も書かれていないが、「味薄し」「やや濃いめ」などと殆ど毎日書かれていた。つまり、兄は毎日母の口の中に日々生長してゆくものを吐き出していたらしい。
 読み進むうちに何故か和子はむかっ腹が立って来た。事の善し悪しはともかく、兄は目一杯母の愛情を受けて暮らしていたことになる。それに引き替え、自分のことは全く日記には書かれていない。代わり映えしない内容に辟易した和子が少しページを読み飛ばした。するとまた驚くべき文字が目に飛び込んできた。
「信孝、中学入学。筆下ろし。六度果て、そのまま眠る」
 まさか、と和子が我が目を疑った。口で吸ってやる位なら苦笑で済ませていたが、母と兄が実際に交わったとなると話は別である。本当だろうか。和子は当時のことを思い出してみた。その頃兄妹の部屋は別々になっていた。定かでない記憶を辿ってみると、兄の部屋は両親の隣。襖一枚で仕切られていたような気がする。そう言えば、その頃父親は海外留学で日本にいなかったのではないか。確かその筈だ。つまり、二人が交わるチャンスは毎晩あったのである。
 それ以後の日記は飛び飛びになっていた。その殆どが「今日は何々で外出」とか「信孝体調悪し」だった。つまり、何かの理由で二人が交わらなかった日と読み取れる。そう言う日は月に二日か三日しかなかった。
(え、もしかして生理の時も)
 全く記述のない月もあったので恐らくそう言うことだろう。それにしても母親と兄が毎晩交わっていたと言う事実が和子の心を混乱させた。母と兄の思わぬ秘密に接して全身汗びっしょりになっていた。
 その兄、信孝は和子が中学に入った年にこの世を去ってしまった。当時の和子には病名までは知らされていなかったが、生来の持病で長く生きることは出来なかったらしい。日記の最後には「信孝、旅立つ」としか書かれていなかった。
 そこまで考えた和子が思わず頷いた。母は兄の寿命が長くないことを知っていた。恐らく生まれてすぐにそれを医師である父親から告げられていたのだろう。だから毎日のように息子の精を吸い、中学に上がったのを機に身体も許したのではないのか。
 恐らく父親もそれを知っていたに違いない。いや、黙認と言うよりも、むしろ父親がそうしてくれと頼んだような気がする。あの父親なら有り得ることだ。口に出すことの出来ない二人の交わりを母親に日記として報告させていたのかも知れない。
 突然、和子が黒雲のような疑問に突き当たった。父親はなぜこの日記を処分しなかったのだろう。これが父親の机に入っていたと言うことは、自分の死後、当然それが娘の目に止まることを承知していたはずである。今回、遺品を調べてみると父親が自分の死期を悟り、身辺を整理していたことは明らかだった。とすれば、娘に読ませるために残して置いたとしか考えられない。しかし、今更秘密を明かしたところで、兄も、そして両親も既に墓の中。一体、父親は何が言いたかったのだろう。
 日記を閉じた和子が仰向けになり、そっと目をつぶった。一言も言わずにあの世に行ってしまった両親。母と兄の人には言えない秘密が父親の春画や淫具の収集と関係があったのだろうか。
 隣の布団からは相変わらずページを捲る音が聞こえて来る。必死に読めない筆文字を想像しながら母と子の淫らな姿を想像する息子。その傍ら、手を伸ばせば届くところに彼自身の母親が寝ている。それも寝間着一枚の無防備な姿で。
(いったい私にどうしろって言うの、お父さん)
 和子がそっと天国の父親に訊ねた。いや、あの父親が天国に行くはずがない。母と兄が待っている地獄にいそいそと出向いたことだろう。
 和子は兄と紀久夫を重ね合わせて考えていた。紀久夫は兄と違って身体が悪い訳ではない。ただ、生まれつきの引っ込み思案で小学校の時からいじめに苦しんで来た。ようやく高校生になった今もガールフレンド一人出来ない。それどころか、むしろ女の子達が寄ってたかって紀久夫をいじめているらしい。
「気の弱い子は要注意よ」
 幼なじみの麻樹が見るからに引っ込み思案の紀久夫を見てそう言った。
「下着泥棒とか、幼い女の子に手を出すのは決まって気の弱い子なの。あんたのとこも注意しなさい」
 和子はいつの間にか免罪符を求めていた。勿論、自分ではそれに気付いていない。夫との営みはもう何年もご無沙汰だった。母と兄の交わり、頭の中に思い浮かべたその情景が和子の身体の奥底に眠っていた何かを呼び覚まそうとしていた。
(私も地獄に行こうかしら)
 和子がそっと息子の方を盗み見た。その目が紀久夫と出会った。どうやら紀久夫はずっと自分の方を見ていたらしい。何かに憑かれたように和子がそっと頷いた。紀久夫が確かめるような視線を送って来た。もう一度和子が頷いた。
(これで私も地獄行きだわ)
 和子はいつでも受け入れ可能なほどに潤っていた。それに気付いた和子が思わず苦笑した。
(私も日記つけようかな。さしづめ今日が筆下ろしね。でも、いったいその日記、誰が読むんだろう)
 紀久夫が怖ず怖ずと和子の薄い夏掛けを捲った。それに気付いた和子がそっと寝間着の帯を解く。半信半疑だった紀久夫の顔がにわかにほころんだ。最早引き返すのは不可能だった。
(お父さんのせいよ)
 この期に及んでも和子はまだ自分自身に言い訳していた。

---END---
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