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(原文:結衣)
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(原文:学)
僕は幸せな日々を送っていた。
あの日、あの場所で自分の人生が終わるまでは......
そう、もう僕はこの世には存在しない。
不運にも、仕事終わりの接待の後、危険運転をする車に僕は当て逃げされ、その生涯を終えてしまったのだ。
そして、本来ならば今頃、あの世にいるはずであろうが、何故か魂だけこの世に残ってしまった。俗に言う浮遊霊と呼ばれる存在であろうか。
一般的にこの世に未練を残して人生を終えた者が、そのような存在になると耳にしたことがあるが、実際、僕にも多くの未練がこの世には残っている。
まず、一番の未練は大切な妻を残したまま、その生涯を早くして終えてしまったことだ。
僕には妻がいる。歳は僕と同じで28歳、名は結衣という。
今の職場で出会い、昨年、満を持して結婚したばかりだった。
妻は本当にかわいい。お世辞抜きにガッキーに似た超絶美人であり、性格もよい完璧な女性であった
実際、職場のほとんどの男性が結衣に好意を持っており、数々のアプローチをくりひろげたものだ。
そして、そんな結衣の夫であるのだから僕を相当な美男であると普通は思うだろうが、実際には全くそんなことはない。
僕は決してイケメンといえるような容姿をもっていないし、どちらかというと、よく回りから地味な奴だといわれることが多い。
だから、実際に何故、結衣が数いる男性の中から僕と付き合い、生涯の伴侶にまで選んでくれたのかは、自他ともに納得できていない部分も多く、色んな男に嫉妬されたが、結衣いわく、僕が一番安心できる存在だったから、僕と生涯を歩んでいくことを決めたと話してくれたことがあり、僕もそんな結衣と結婚することができ、本当に幸せだった。
本当に生涯、自分の人生をかけて結衣を守っていくつもりだった。
しかし、実際、もう僕が結衣を守ることはできない。
できることは、せいぜい結衣を見守ることぐらいである。
なぜなら、先ほどにもお伝えしたが、僕は霊になってしまった。壁を抜けたり、空を飛んだり、人間ではありえない行動をとれるようになったが反対に、僕はだれに触れることもできないし、誰も僕の存在に気付かない。
当然結衣も例外ではない。
日に日に、元気を失っていく結衣に対して、僕は何もできないのだ、結衣の夫としてこれほど、苦しいことはなかった。
また、心配ごとはそれだけではない。
学という人間の存在が、僕の中で、大きな気がかりとして残っている。
この学という人間は僕の会社の大手の取引先の人間なのだが、この男も結衣に好意を持っていた人間の一人で、何度も結衣にアプローチをかけているところを目撃した。
それだけなら、他の男達とも特段何も変わらないのだが、学は少し違う。
学は僕が結衣と結婚していること知ってからも、結衣にアプローチをかけつづけるような男だった。結衣は当然すべて軽く受け流していたが、特に僕が亡くなってからはチャンスとの如く、学は結衣と出会うたびにアプローチをかける回数を増やしていった。
僕も野暮ではない。現に今の僕では結衣を幸せにすることはできないし、やはり悲しくはあるが、結衣だってまだ若い。
良い人が見つかれば、その人と再婚でもして幸せな人生を送ってくれればと考えている。
ただ、学だけは絶対にだめだ。この男だけはダメなのだ。
こいつは容姿も良いし、一見ひとあたりも良い。
さらに取引先の重役の息子で将来も約束されている完璧人間のような奴だが実際は違う。
実際は自分より下と見た相手やつきあってもメリットがないとみなした人間にはとてつもなく冷酷だ。
学は僕と歳も同じであり、キャリアもさほど変わらないが、取引先の相手かつ、僕と仲良くしても何のメリットもないと見たのだろう。
横柄かつ無茶な要求を何度もされた。同期の中には学に休職においこまれた奴もいた。
さらにそれだけハイスぺックなため裏では女遊びも激しいらしく、何人もの女性を泣かせてきという噂もあるが、やはり、表での印象がすこぶる高いため、相変わらず、上司や女受けも良い。
これだけでも、絶対に結衣に近づいてほしくない理由になるがそれだけではなく、さらに絶対に学だけはダメだという理由が存在する。
それは私の第二の大きな未練につながる出来事であるがひとことで唐突に言うとこいつが、僕の人生を奪った張本人なのだ。
あの夜、僕の命を奪い、車で逃走した人間は間違いなく学だった。
霊になってから詳しく調べたことだが、あの日、学は飲酒運転をしており、たまたま、偶然、何の因果か、あの場所にいた僕を轢いてしまった。当然、そこに殺意はなく、僕が轢かれたのは、糞みたいな運命のいたずらでしかなかった。
そして、あろうことか、学は大手企業の重役の息子。
政治家などとの関わりも深く、僕を轢いたという事件はあいまいにされ事件は迷宮入りになった。
したがって、学には何の被害もない。さらに現在も自分が殺した相手の妻を会うたびに口説くという最低なしまつ。
学にとって僕の命など、虫けらの命でしかなかったのだ。
しかし、もう僕はどうすることもできない。誰にも僕の声は聞こえない。
できることは、本当に結衣のことを見守ることぐらいだが、僕は少し安心していた。
僕が亡くなってからも、やはり何度も学は結衣にアプローチをかけているが、結衣は相手にもしてない。
僕意外とは生涯誰ともお付き合いする気はないと何度も学からのアプローチを断っていた。
結衣の人生を僕という存在がしばりつけてしまっていることに関しては、やはり罪悪感を感じてはしまうが学と付き合う気がないという事実には安心するほかなかった。
しかし、学は結衣へのアプローチをやめなかった、
こいつは何がなんでも結衣を自分のものにするつもりだった。
僕はストーカーではないが、学の素行を調べるため日々、奴に張り付いていたがあの手、この手を使って結衣に近づこうとしやがる。
しかし、そのくせ自宅では毎晩違う女をとっかえひっかえ抱く学。
自分と同じ部署にいた彼氏持ちの可愛い後輩が抱かれてた時にはかなり驚いたが中でも驚いたのは、学に抱かれている女性は皆、天国を見ているのかの如く、気持ちよさそうなエロ顔で、淫靡な嬌声をあげるのだ。
さらに、なんといっても学のイチモツは今までみたことのないような大きさで、テクニックもAV男優顔負けであった。今まで正常位でしか行為に及んだことのない自分には、駅弁スタイルやバック、騎上位で数々の女をイカせる学に只々、驚いた。
自分自身、結衣をイカせたりしたことは、もちろんないし、現実女性が快感から潮を吹き痙攣することなどありえないと思っていたからだ。
さらに学は性欲が半端なく強く、一日中女を抱いている日もあった。
女性は理性をなくし、激しい喘ぎ声は外まで実際に響き渡り、とてつもなくエロかった。
不覚にも僕は霊でありながら勃起してしまっていたのだ。
そして一方で、本当に、結衣がこいつの毒牙にかからなくて良かったと安堵した。
しかし油断はできなかった。学の結衣に対するアプローチは止まらない。
学はあいかわらず外面だけはいい。
あげくのはてには、同僚の女性たちからも、
「私は良いと思うけどな。結衣ちゃんも次の人生に踏み出さなきゃ、じゃないと逆に亡くなった旦那さんも悲しむよ。」
「学君は良い人だよ。一回食事くらい行ってみなよ」
などと学との交際を促すしまつ。
それでも結衣は断り続けていたが、さらに、学は手段を選ばない。大手取引先であるという力を使い、こちらの上司をも味方につけ、結局、食事会をセッティングされてしまった。
僕は、とにかく回りの奴らの糞みたいなおせっかいや計らいに怒りを覚えたが、結衣のことだから、こんな1回の食事会でどうこうなるわけないだろうと、そこまで不安にはならなかった。
それにどっちにしたってもう僕にはどうすることもできない。
只々、結衣を見守った。
そして結果、やはりこの食事会で学と結衣の関係が変わることはなかった。
結衣は、いつも通り、当たり障りなく、学からのアプローチをすべて受け流していた。
やはり、結衣はしっかりしていて学なんかの毒牙にはかからなかった。これからも大丈夫であろうと思っていた。
その後も周りの同僚のいらないおせっかいや、学の積極性から度々、このような食事会などがセッティングされたが、結局は何も起こらなかった。
しかし、いつからか僕は何か違和感を感じるようになっていた。
気づくとだんだんとすこしづつだが結衣が明るくなり、学との会話なども他人行儀さやよそよそしさが無くなってきているのだ。
初めのころは、学とのおしゃべりも明らかに愛想笑いばかりだった結衣が素で学に対して笑うようになっているのだ。
だからといって学と結衣の関係に大きな変化があったわけではないし、心配するほどのことでもないが、心的にはやはり少しムズムズするものがあった。
そして、そのような感じの出来事が一年程つづいた。
案の定、結衣は学のアプローチを断わり続けているが、以前のようなよそよそしさは二人には完全に無くなっていた。
仕事場に度々訪れる学とも結衣は楽しそうに会話し、そんな結衣をみて、回りのおせっかい同僚ババアなどが「ヒューヒュー、お似合いのカップル、付き合っちゃいなよ」などと茶化すしまつ。
「そんなんじゃありません」と言いながらも結衣のその美しい顔は赤くなっていた。
学もやはり、表では人当たりが良く女性との会話にもなれている。
結衣も学に嫌な感情はもっていないのだろう。
僕は、これらの光景にかなり複雑な心情だった。
なぜなら、この1年、僕は一方で学の裏の顔を見てきたからだ。
相変わらず、いろいろな女を性処理の道具の如く、毎晩抱き続け、なんとしても結衣を自分のものにするために裏で色々な根回しをする。
そして、まんまと結衣は学に心を開いていく。
僕は本当に何もできない自分が悔しかった。
何度も結衣にこのことを伝えようとするが僕の声が結衣に届くことは当然ない。
そして、それからも僕の声が結衣に届くことはなかった。
そして、数か月後の、食事会の後、
...............ついに結衣は学に完全に心を開いてしまった。
学だけは、学だけには心を開いてほしくなかった.....
しかしもう遅い。
結衣と学は食事をとった高級ホテルの一室でお互いの唇を重ね合わせていた。
学は恥ずかしそうに顔を赤らめる結衣を抱き寄せ「チュっ チュッ」と何度も口づけをする。
こなれた手つきで学に衣服を脱がされていく結衣に抵抗はない。
いつの間にか、お互いの下着が床に散らばり、僕しか見たことのなかった生まれたままの結衣の美しい肢体と逞しい学の肉体が重なり合っていた。
生まれたままの姿で優しく抱き合い、何度も目の前で見つめあいながらキスをする美男美女。
僕はその光景に耐えられなくなり、気づけば一心不乱に壁を抜け、空を全力で飛び回っていた
僕の妻が、僕を殺した学に、最低な男学に、完全に心を開いてしまった現実を直視できなかった。
僕はこの広い空を放浪した。全力で、このまま風と共に消えたいと思いながら。
そして数時間後、二度とあんな光景は見たくないと思いつつも僕はあの二人が愛しあっているホテルに戻ってきてしまった。
すると「あんっ!あぁんっ!んっ!あっっっっんんんん!!!!!……はっ、はっ、はっ、ああああああああ!」と女性の声が僕の耳に響きわたる。
僕はまだ廊下だ。壁を抜けていない。
信じられない。明らかに結衣の声だが、僕はこんな結衣の声を聴いたことがない。
こんなエロくて激しい、結衣の声を.....
当然、これだけの嬌声を出すと、外の人間にも自分の喘ぎ声が響き渡ることぐらい結衣にはわかるはずだ。
しかし、今結衣は、おそらくそんなことを考えられないくらい学とのSEXに没頭しているのだ。
今まで、学とSEXをしてきた数々の女のように獣のごとく理性を失っているのだ
そして、僕は、考えるよりも先に結衣と学のいる部屋に壁を抜け侵入していた。
すると案の定、そこには僕がみたことのない、とてつもなく恍惚のエロい表情で学に正常位でこれでもかというくらい激しくイチモツをうちつけられ、気持ちよさそうに嬌声をあげる結衣がいた。
その結衣の両足は学の腰を下からがっちりと挟み、両手は腰に回されていた。
こんなエロい結衣を僕は初めてみた。完全に学に変えられてしまった。
その後もバックや駅弁スタイルなど、僕がしたことのない体位で結衣は学に女にされていく。
もはや夫婦のような深いキスを何度も僕の目の前で交わしながら激しく肢体を打ち合う二人。
結局二人の愛し合う情事は朝まで続いた。
僕はSEXに関して淡白で一日に1回、それも10分ももたなかった。
だからこのような激しいSEXを一日中だなんて結衣には初めての経験だった。
ただ、今目の前にいる結衣はぐったりとしていながらも、充実感のある悦楽の表情で学の胸の中に抱かれ眠っている。
僕は泣いた。ずっとその場で放心状態になっていた。
昼頃に結衣が目覚めると、すでに起きていた学は彼女におはようのキスを求めて口を突き出した。
そしてそれに恥ずかしそうに照れながらも「ちゅっ」とこたえる結衣。
完全にどこからどうみても恋人同士の行為だ。
そして「これからは、俺が結衣を幸せにするから」との学の言葉にコクっと首を恥ずかしそうに縦にふる結衣。
もう彼女は僕のものではなくなってしまった・・・
その後、学と結衣は会社でも公認のカップルになった。
そして、毎晩違う女を抱いていた学は、それからは、他の女に目もくれず結衣を抱き続けた。
結衣に本気になってしまったのだ。
毎日、毎日、結衣は僕のことを忘れるくらい学に抱かれた。
そして「好き、学、好き」と結衣の中にも、もう学しかいなくなった。
もう彼らには何の障壁もない。
完全なラブラブ美男美女カップルだ。
数か月後、皆に祝福され、結衣と学は結婚し、正式な幸せな夫婦となった。
結衣は僕を殺した最低な男である学の正式な妻になった。
結衣は、何も知らず僕を殺した男を本気で愛し、そのすべてを捧げててしまったのだ。
そして結衣のおなかの中には学との新しい命が芽生え、学は幸せな生活を手に入れ、僕はすべてを奪われたのだ。
そして僕は、そのまま地縛霊になってしまい、毎日、結衣と学の情事や、本来僕と送るはずであった、二人の仲睦まじく幸せそうな夫婦生活を見続けなければならない地獄のような日々を送っている。
---END---